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農村を活性化させる為には?

農家の右腕という新たな働き方

先日、TV番組で「阿部梨園の知恵袋[リンク]」というサイトが紹介されていた。実践で培ったノウハウを農業界に還元していくことを目指し、その経営改善手法をオープンにしている。そのノウハウは農家に限らず、企業人にとっても示唆に富んだ内容ばかりだ。
その仕掛人である佐川氏のインタビュー記事を紹介する。

:::以下引用:::

■農家の右腕という新たな働き方 阿部梨園 佐川友彦さん(ベリーマッチとちぎリンクより)

東京大学農学部を卒業し、外資系メーカーで研究職として働いた経歴を持つ佐川友彦さんは、インターンシップを経て、2015年1月に宇都宮にある「阿部梨園」に就職。これまでに、経営や組織に関する改善を400件以上手がけ、代表である阿部英生さんの右腕として活躍している。

「畑に出ない農家の右腕」という新しい働き方を実践する佐川さんは、これからも多くの個人農家が生き延びていくために、阿部梨園で培ったノウハウを農業界に還元していくことを目指している。

◆グローバル企業から一転、ローカルな梨農家へ

宇都宮市で3代にわたり続く「阿部梨園」。そこで働く佐川友彦さん(下写真右)は、マネージャーとして経営改善から企画、PR、会計、事務、労務、システムまで、生産以外のすべての業務を担当している。

群馬県館林市出身の佐川さんは、東京大学農学部、同大学院を卒業後、外資系メーカーで研究職として、宇都宮市で2年間、茨城県つくば市で2年間働いてきた。そんな佐藤さんがグローバル企業から一転、ローカルで働くことを選んだのは、どんな理由からだろう?

「以前の仕事では、地元の方とかかわる機会がほとんどなくて。もっと自分が暮らす地域と深くかかわる仕事がしたい。また、事業全体を見渡す経験を積みたいと思い、転職を決意したんです」

:::中略:::


◆小さなことに忠実に向き合い、400を超える改善を実施

当初、阿部梨園のインターンシップで求められていたのは、イベントの企画といった新たな顧客や売上を生み出すことを目指した外部向けの取り組みだった。しかし、最初の数週間、阿部梨園の業務を体験するうちに、佐川さんは、それよりもまず取り組むべきことがあると感じたという。

「阿部梨園の梨は本当においしく、たくさんのお客様から愛されている一方で、経営や組織については多くの個人農家がそうであるように自己流で、至るところに改善点があると感じました。今後、阿部梨園が生き残っていくためには、まずは組織の内側を鍛えることが重要だと感じ、代表の阿部やとちぎユースサポーターズネットワークの岩井さんと話し合い、プログラムのテーマを『経営と組織の改善』に変えることになったんです」

そこで、事務所の掃除から始め、売上や顧客データの管理、スタッフの管理、業務の流れや販促物の見直しまで、インターンシップ期間中に70件の改善を実施。2015年1月に阿部梨園に入社してからも含めると、400件以上の改善に取り組んできた。

「改善といっても、多額の費用かけて大きな変化を起こすのではなく、『小さなことに忠実に向き合う』を大切に、できるところから少しずつ改善を重ねてきました。その結果、今ではスタッフのキャリアプランやコンプライアンスなどの分野にまで、取り組めるようになってきました」

こうした改善を実現できたのも、代表の阿部さんが信頼して任せてくれたからこそだと、佐川さんは考えている。

「これまでの経営や会計の内側をすべてオープンにしたうえで、改善点を指摘されることは、阿部にとって辛い部分もたくさんあったと思います。それでも阿部は、信頼してすべてをさらけ出してくれました。だからこそ、僕も結果を出さなければならないと、全力で改善に取り組んできました。インターンシップが終わった後、入社を決めたのは、阿部と一緒に仕事をしていきたいと思ったからなんです。その思いは、今も変わりません」

また、スタッフも労力や時間を割き、改善に積極的に取り組んでくれた。

「今ではようやく、当初のテーマだった新たな顧客や売上を生み出すためのチャレンジに、本腰を入れられる体制が整ったと感じています」

:::中略:::


◆ここで培ったノウハウを、農業界に還元していきたい

まさに“農家の右腕”として働く佐川さんだが、このような新たな働き方は、栃木でなければ実現できなかったと感じている。

「阿部やとちぎユースの岩井さんをはじめ、栃木ではさまざまな人が各地域で新しいチャレンジを続け、情報交換をしたり、コラボしたりと密に連携している。そんなみなさんのこれまでの活動があったからこそ、僕は今、“農家の右腕”という新たな仕事に取り組めているのだと思っています」

これまでは畑に出ることはなく、農家の右腕として現場を支えてきた佐川さんだが、今年からは少しずつ生産にも携わっていく予定だ。その目的は、現場チームと経営の融合。佐川さんが現場に加わることで、より連携した一枚岩のチームをつくり上げることができる。さらに、現場の実情や作業内容を把握することで、効果的な改善が可能になると考えている。

「阿部梨園だけでなく、多くの個人農家が同じような悩みを抱えています。これからは多くの個人農家が楽しく生き延びていくために、阿部梨園で培ったノウハウを農業界に還元していくことが目標です」

:::後略 引用終わり:::




石山 巌

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「有機農業を次世代に」 安心安全な米作りを続ける中道農園の取り組み


リンクより引用
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滋賀県野洲市。見渡す限りの大自然の中で、米作り一筋で200年を迎える「中道農園」。
園長である中道唯幸さんは「ケミカルに頼らない農業」を模索し、独自の方法を確立した有機栽培界の立役者です。
そんな彼が次に目指すのは、次世代の農業を背負って立つ人材を育てること。
「何もなかった自分でも、先輩たちの教えに支えられてここまでやってこられた。次の世代に思いをつなげることが、恩返しだと思っています」。
そう語る中道さんから、有機栽培の可能性や農業の未来についてお話を伺いました。


■安全でおいしいお米を作りたい。試行錯誤し見つけた有機栽培の可能性。
滋賀県野洲市で米農家を営む中道さんが、有機栽培に取り組み始めたきっかけは、先代園長である父親の「農薬中毒」でした。
長年の農薬散布作業で体を壊し、それに代わり中道さんが散布係を買って出たものの、彼もまた数年で体調に異変を感じるように。
自分のために、家族のために、そしてこのような健康被害に悩む人を増やさないためにも、食べる人にも育てる人にも優しい「農薬に頼らない農業」を目指すことになります。

「父が倒れた1970年代当時、高校を卒業したばかりの私に無農薬での米作りの知識など無いに等しく、私が農薬散布を行い始めた1980年頃でもまだ『減農薬』という言葉すら存在しませんでした。農業は、農薬を使うことが当たり前。そんな考えに疑問を持つようになり、さまざまな研究機関や大学にお世話になったり、研修に参加したり、先進農家を訪問したりと猛勉強をはじめました。初めは何年もお米は採れず採算も取れず、経済的にも苦しい時代が続きましたが、ようやく技術を確立することができ今では有機農業だけで農園の経済性を充分に保てるようになりました。」

中道農園では有機栽培はもちろん、有機肥料やたい肥も使用しない、土と水の力だけで育てる自然栽培にも取り組んでいます。
「安心・安全な食物を作る」という強い信念のもとに収穫されるお米にはファンが多数。
公式サイトにはたくさんの口コミが寄せられ、小さなお子さんのいるご家庭、アトピーをはじめとするアレルギー系の疾患を抱える方など、たくさんの人に支持されていることが伺えます。

自身の体験から、「現代人の体の不調の多くは化学物質の過剰摂取に関係しているのではないか」と考える中道さんは、今後有機栽培がもっと必要とされる時代になると予測しています。
実際に消費者が中道農園のサイトにアクセスする際、そのほとんどが「白米 健康」「玄米 アレルギー」など、お米と健康にまつわる検索ワードでヒットしており、食の安全に不安を抱えて中道農園のお米を買い求める人が一定数存在することが分かっています。
また、インターネットや流通の発達により、買い物における選択肢が大幅に広がったこの時代だからこそ、「口に入れる物にはこだわって選びたい」そんな層に確実にリーチできる方法論を確立できれば、有機栽培の可能性は劇的に拡大していくことでしょう。

■自分で考え行動する。マニュアルに頼らない働き方で自主性が身につく。
中道農園の革新的な取り組みは、有機栽培だけではありません。注目すべきはその教育体制です。
一見ルーティンワークに思われがちな農作業ですが、実際にはその日の天候や土の状態によって判断を変えたり、収穫までのスケジュールを長期的な視点で考えたりと担当者の裁量と経験が問われる仕事です。そこで中道農園では「指示ゼロ」と呼ばれる教育制度を導入しています。
園長のトップダウンにより全ての田んぼを管理するのではなく、各区画の担当者に一切の判断をゆだね、課題の因果関係や分析、ゴールまでの道のりを自主的に考えてもらうという取り組みです。

スタッフが自主的に働くための研修を導入し、職場の雰囲気は少しずつ変わっていきました。
「2018年の秋は悪天候や災害が頻発し本当に大変でした。しかし、スタッフそれぞれが『遅れを出さないためにはどうすればいいか』と頭を使って考えてくれ、私が指示する前に自分の行動計画を示してくれたので大助かりでした。成長が垣間見られてとても嬉しい瞬間でしたね」、と中道さん。
自然災害の猛威に見舞われ、イレギュラーな判断が必要なときでも冷静に対処したスタッフのおかげで、例年に後れを取ることなく収穫・出荷が無事に完了したそうです。
一人ひとりが自立し、経験に基づいた技術を身につけることができるという点においても、中道農園は農業に将来を見出す人にとって良い環境なのでしょう。




根木貴大

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日本の農家に泊まって農作業が体験できる「農泊」

 海外からの観光客が増えている今、新しい需要として期待されている「農泊」。農林水産省も推進しており、需要期待に応える新しいカタチが生まれている。
 一方で、市場拡大という軸での議論に見えてしまう一面もあります。しかし、日本を訪れた外国人には、農漁村体験をしたいという潜在的なニーズには、本源的な人間の生活に触れたいという潜在意識が見え隠れしており、今後期待していい事業ではないだろうか。

ーーー(リンク)
国内外の旅行者に、日本ならではの生活体験と農村地域の人々との交流を楽しんでもらう滞在型旅行「農泊」。2017年度から推進事業を行っている。

■今年度の取組は「儲かる体制の確立」と「地域の宝の磨き上げ」
 農水省が掲げている目標は、2020年までに500ヶ所の農泊地域を創出すること。2017年度は、農泊推進対策(予算50億円)が新設され、約400地域の応募の中から意欲の高い205地域を支援し、2018年度の1次公募では応募数約200地域から102地域を支援しています。また、2次募集により、支援地域を追加する予定です。

 農泊の取組において重要なのは、「地域の合意形成」と「地域内での調整機能を持った法人の設立」です。裾野が広い取組を行うには、地域一丸となった推進が大切です。さらに、2017年度には、予算の一部を活用し、海外の人気タレントやブロガーに実際に農泊を体験してもらい、全世界へ向けYouTubeで発信するなど、地域の取組を「知って」もらう機会を創出しました。

 昨年、日本には2869万人の訪日外国人が訪れていますが、観光庁が行ったこれらの方々へのアンケートによると、15・6%が次回訪日するなら「自然体験ツアー・農漁村体験をしたい」と答えているように、大きな潜在的ニーズがあることになります。今年度は、57億円へと予算を拡大し、引き続き古民家を活用した宿泊施設の整備等を支援するとともに、地域の食材を利用したメニュー作りなど、料理人と農泊地域のマッチングといった人材育成・確保も支援するなど「儲かる体制の確立」と「地域の宝の磨き上げ」に取り組んでいます。

■安心して「農泊」と名乗れるように商標登録でコンセプト拡大を狙う
 今年7月23日、「農泊」を商標として使用する際は農水省への申請が必要になりました。無償で使用できる商標を農水省が取得することで、多くの方々に安心して「農泊」を広く利用していただき、より広く「農泊」のコンセプトを伝えるための取り組みです。

 農泊の取り組みを知ってもらうため、農水省のホームページには、農泊の先進事例12地域の「農泊プロセス事例」を紹介しています。「きっかけ→取組の流れ→取組成果」が簡略図で見られるので、具体的なイメージを共有しながら独自性や持続性をもった農泊にスピーディーに取り組むための手がかりになります。

 今後も、農泊の魅力を海外のみならず国内へも情報発信し、受入地域への農泊ビジネス化の働きかけなど、政府としてのメッセージを積極的に発信していく予定です。

―――

【参考】「STAYJAPAN」(リンク)
「農泊」を推進する団体で、株式会社百戦錬磨が運営している。

・農泊の流れを簡単に。
①チェックインしてから、畑で農作業体験
②採った野菜を夕食や朝食でいただく
③農家での人々との触れ合いも旅の楽しみの一つ。

★ディープな日本のローカル体験をはじめとする、新たな民泊スタイルを提案している。

(以上)





takajin 

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変革は “働き方”だけじゃない──地方に突然やってきた東京の会社が「農業×IoT」の信頼を得られた理由とは①

以下リンクより
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自然を相手にする第一次産業の世界にも、IoT(Internet of Things)の波が押し寄せている。東京から約900キロ離れた地、長崎県南島原市にあるイチゴの生産地では、ビニールハウス内にセンサーや通信デバイスを内蔵した専用装置を設置。温度や湿度、日射量、土壌水分、CO2濃度といった圃場(ほじょう:作物を栽培する場所)環境データをスマートフォンからいつでもチェックできる環境を整えている。

ビニールハウス内に設置されたモニタリングシステム。センサーや通信機器が内蔵されている
 その中でも特に目を引くのが、一粒約1000円もの値が付く“桃のような香りと味わい”が特徴のイチゴ「桃薫」(とうくん)だ。生産者の栗原雄一郎さん(KAWAKIYA代表取締役/加津砂佐苺組合事務局)も、2016年にこのモニタリングシステムをビニールハウスに導入した1人だ。

 「離れた場所にいても(ビニールハウス内の)状態をリアルタイムで把握できる。農地の状況が心配になって『一晩のうちに3回も確認しにいく』といったことも無くなりました」(栗原さん)

生産者の栗原雄一郎さん(KAWAKIYA代表取締役/加津砂佐苺組合事務局)

大きなピンク色のイチゴ(左)が「桃薫」(とうくん)
 「例年1日に1回しかできなかった収穫が、2回できるようになった」「不慮のボイラー停止による(ビニールハウス内の)急激な温度変化に気付くことができ、3000万円の損失を回避できた」──このシステムを活用することで、こんな事例も生まれているという。

スマートフォンからビニールハウス内の環境や映像をチェックできる
 確かな成果を出しているサービスを提供しながら、積極的にIoTの活用を試みている農業生産者を“すぐそば”で支えているのが、東京都新宿区に本社を置いているセラクだ。社員数およそ1400人、ITインフラ構築やWebシステムの開発などを得意とする同社の温室環境遠隔モニタリングシステム「みどりクラウド」は、電源に接続すればすぐに使える簡単さと低価格から、北海道から沖縄まで、全国でユーザーを抱えている。

 みどりクラウドの研究開発効率をさらに向上させようと同社が取り組んでいるのが、開発拠点を農業生産者がいる地方に置く、サテライトオフィス設置だ。

 そこには、開発に携わるエンジニアが本社からやってきても、いつもと変わらない業務を遂行できる「テレワーク環境」の工夫があった。

廃校になった小学校が先端のサテライトオフィスに
 セラクがサテライトオフィスを置いているのは、長崎県南島原市加津佐で14年に廃校となった旧山口小学校だ。現在は「赤い屋根のふるさと交流館」として内装をリノベーションし、地域住民の交流の場、そして南島原市が以前から実施しているIT企業向けサテライトオフィス誘致の場にもなっている。

 みどりクラウドは農業とIoTを組み合わせたサービス。セラクの担当者(経営管理本部経営戦略室長)は、「南島原農業IT研究所」と呼んでいる南島原オフィス設立のきっかけについて、「実際のデータや設置後の活用ノウハウを持っているのは農業生産者さん。その方々に密着し、ユーザーの声を聞きながらの機能開発や収集したデータ利活用の取り組みを進めたかった」と説明する。

 「当社では、みどりクラウドがビジネスとして立ち上がる前から『いつかITによる地方創生を』と考えており、都内で誘致活動をしていた南島原市さんと2010年頃からコミュニケーションを取っていた。具体的に話が進んだのは15年頃。みどりクラウドの基礎技術が出来上がってきたころで、南島原市さんからも『廃校になる木造の立派な小学校がある』とタイミングのいいお話をいただき、実現に至った」(担当者)

 セラクのサテライトオフィス設置は、総務省が実施する16年度の「ふるさとテレワーク推進事業」にも採択されている。開発の中心はあくまで本社にありながらも、農業生産者と共同研究することで、効果の上がるものはサテライトオフィス(以下、南島原オフィス)で行う──効率と効果を最大化する働き方を実現するつもりだという。

テレワーク環境を構築して気付いたこと
 「外部からの電話に“出張中”とは絶対に言わないで」──担当者が南島原オフィスに訪れる前に東京本社で指示したのは、あくまで出張ではなくテレワークであるというスタンスだ。

 南島原オフィスに整えたテレワーク環境で重視したのは、「東京本社に掛かってきた電話をそのまま受けられること」「テレビ会議で常時接続し、それぞれの部屋が常に見える」という2点だったと担当者は話す。



匿名希望

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変革は “働き方”だけじゃない──地方に突然やってきた東京の会社が「農業×IoT」の信頼を得られた理由とは②

①の続きリンク
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東京本社とテレビ電話で常時接続
 「本社にいるのと同じ感覚が大事。イントラネットや社内ポータルへのアクセスなど、日々の業務が滞りなくできるようにシステムをクラウド化し、PCさえあればどこにでも居られる環境を作った。もともと会社全体が既にクラウド化の流れだったということもあり、追加投資はそこまで大きくない」(担当者)

 サテライトオフィスの一角に設けられた会議スペースは、東京本社と常にテレビ会議で接続されており、オフィスの様子が画面越しに見られる。

 本社にいる人からすれば、南島原オフィスにいる人が何をしているのか分からない、逆もまたしかり。姿だけでも見えるようにすることで、心理的な不安を取り除くちょっとした運営の工夫だという。

 「『出張中だから』ではなく、遠く離れた南島原市にいても東京と同じ仕事ができる。これらが実現できるのは本当にITの力だと思う。ここに来ることが特別なことではなく、『普段の仕事を行うのが、たまたま違う場所ですよ』となるようにしたい」(担当者)

「テレワークで南島原に来るなら、土日も楽しんで」
 南島原オフィスを構えた理由は、農業生産者との共同研究が大きな目的の1つ。しかし、管理部門の視点では「リゾートオフィス」としての機能も企てている。

 担当者がIT業界全体の課題だと懸念しているのが、オフィスやクライアントが都市部に集中する中で社員の心身と健康を保ち、長く働ける仕事環境を提供するにはどうしたらいいかという問題だ。大人数の社員を抱える企業として、そういった心身のケアは非常に重要な要素だという。

 「東京で働くのと自然が豊かな南島原で働くのでは、業務内容や勤務時間は同じでも気分的には大きく違う。例えば長期間のプロジェクトに従事する人が、プロジェクトとプロジェクトの合間の1カ月間は南島原オフィスに来て業務を行う──山も海もあり、近くにはサーフィンができるポイントや有名な温泉もある。この場所なら、普段の業務をしつつも英気を養うことができるのではないか」(担当者)

南島原オフィスで働いている社員の姿
 設備だけでなく会社の制度を整える重要性を担当者は訴える。セラクでは業務内容がテレワークでも支障が無い場合、直属の上司が許可すれば南島原オフィスで働くことが認められるという。「南島原オフィスで働くことは、出張ではなくテレワークである」とルールで明確化し、手当も出張とは異なるようにしているという。

 テレワークのルールにも細やかな配慮がある。南島原のサテライトオフィスに来る場合は、期間は最低1週間、さらに土日を必ず挟むように規定しているという。

 「平日に滞在するだけではリフレッシュとはいえない。『どうせ行くなら土日を挟んで仕事以外の時間も過ごしてきなよ』ということを明確化する工夫を施している。また、ある程度の立場がある人間が率先してテレワークをやってみせるのは重要でしょう。1、2年たったときに、一般の社員でも『テレワーク、やってみようか』と思ってもらえるようになれば、それが成功といえるのかもしれない」(担当者)

働き方を変えて得たもの
 担当者が実際にサテライトオフィス事業を進めていた中で実感したのが、行政の力強さだ。行政が地元とのコミュニケーションを促してくれることで、会社についての理解をスムーズに得られたという。

校舎の中にはこれまでの歴史を振り返るスペースも
 「サテライトオフィスを設置する場所には、地元のコミュニティーと生活がある。そこに東京からいきなり『IT企業です』とやってきても普通は受け入れられない。地元の人が違和感を持つのは自然なこと」(担当者)

 「一企業が拠点にオフィスを構えれば、仕事ができる」──これは間違っているというのが担当者の考えだ。セラクを受け入れた南島原市の小関克稔さん(南島原市企画振興部商工観光課)は、「市が(企業を)誘致して終わりではない、という姿勢を示すのも大事」と説明する。

南島原市の小関克稔さん(南島原市企画振興部商工観光課)
 「セラクさんが現地に来て、『農業IoTの聖地を目指しましょう』と言葉にしていただけるだけでも全然違う。しっかり地元に入ってもらえることで安心感があり、(農業生産者の人は)相談してみようとなっているのでは」(小関さん)

 セラクが南島原にサテライトオフィスを設置したことで、サービスの研究開発の効率が上がるだけでなく、実際にサービスを利用する人たちの信頼を得ることにも成功している。

 最新のITツールで働き方を変えることで、さらなる価値を生み出す事例も出てきている。あなたの会社でも、これまでにない新しい働き方を検討してみてはいかがだろうか。





匿名希望

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