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農村を活性化させる為には?

「高速堆肥化処理装置(ハザカプラント)」とは?

有機農法というと無条件に「安全」「おいしい」「信用できる」と考えてしまいがちですが、実際には有機農法、有機農産物でも峻別していかなければいけないようです。

<参考書籍>
『本当は危ない有機野菜―リサイクル信仰が生み出す「恐怖の作物」』

内容:誤った「有機神話」「リサイクル信仰」で土壌と作物が汚染されている!健康被害の恐怖から、安全な野菜選び、調理法まで、緊急レポート。

松下 一郎著:農水省の仕組みに詳しい、現役の施肥技術指導員。GAP指導員。土壌・肥料分析に基づいた栽培指導で現場を回る。4年制大学の水産学科に入学、のち農学科に転科し卒業した異色の経歴を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 未発酵の有機物(牛糞、豚糞、鶏糞等)を使用すると作物への悪影響だけではなくその中に含まれるウィルスや細菌、寄生虫の卵なども残存してしまうという危険があるとのこと。

 主に畜産業や家庭から出る生ゴミを25日で「完全堆肥」に変えるというプラントを紹介します。

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■循環型農業を目指して~たい肥化施設・ハザカプラント(十勝毎日新聞社)

東京農大 小泉教授に聞く[1999.11.12]

発酵した土で農業を
有機物は作物の差別化にも 

 東京農業大学の小泉武夫教授(醸造・発酵学)は「21世紀は発酵革命の時代」と説き、世界中の“臭い”発酵食品を食べ歩くユニークな学者だ。そんな小泉さんが十年前からハザカプラントに興味を示し、支援者の一人に名を連ねている。その背景には、日本農業の将来に「土づくりは不可欠」との強い認識がある。
  
◆◆     ◆◆

-先生がハザカに興味を抱いた理由は。

 農薬や化学肥料に慣らされた現代では、それが環境汚染につながり、食物連鎖を通して次世代への影響も懸念されている。また薬品に慣れてしまった農家には、よい作物を生産するんだという意欲が薄い。まさしく「農学栄えて農業滅ぶ」で、日本農業の再構築に土づくりは避けて通れないと認識していた。ハザカプラント発酵技術を見て“これだ”と思った。

-つまり土づくりが背景にあると。

 その通り。農業は一年一作の世界。たとえば米を一年間作らなければ、その水田は地力が回復するのに二年かかる。二年使わなければ四年かかる。今のうちに土づくりをしておかないと、いざ自給率が極端に落ち込み慌てても間に合わない。その意味で土づくりは大切なことだ。

-その自給率は今でもかなり低い。

 私が危惧(きぐ)するのは、その点。先進工業国のドイツ、フランス、イタリアは実は農業国。自分たちが食べて余った分を輸出しているのであって、農業が強いから国力もある。しかし日本では医師になろうという人の方が、農業を始めようとする人より多い。原点となる食べ物を作る人がどんどん減り、外国から食料を買っている。日本の自給率は四〇%を切るとも言われているが、これは大変なことだ。

-ただ農家は有機物(たい肥)を使いたがらない。

 それは悪いたい肥を使っているから。収量が下がったり病気になれば、もう使いたくない-となり悪循環。それに土づくりという側面のほかに、たい肥を使うことが農産物の差別化につながることを、もっと理解してほしい。

-たとえば。

 ある大手ハンバーガーチェーンは有機の材料を使うようになり、都内の有機野菜レストランは予約をしないと入れない状況。つまり有機農産物がどんどん流通する時代に変わりつつあり、先を見る目が必要。ただ有機農法というと嫌な顔をする人も多い。「発酵した土で農業を行う」のだと考えてほしい。
  
◆◆     ◆◆

 小泉教授が強調するように、果たして発酵は日本の農業を救うのか。十勝管内でもここ数年、バイオガスをはじめ家畜ふん尿の発酵処理の研究が急ピッチで進んでいる。ハザカプラントに限らず発酵技術の進歩は著しい。しかし有機物の循環利用は進んでいないのも現状だ。

 「今こそ土づくりを」。小泉教授の素朴な呼びかけが実現したときに初めて、技術の恩恵を享受する享受することになるのではないか。
(おわり)(政経部=能勢雄太郎)

<参考サイト>
「現代的にシステム化したハザカプラント ハザカプラント」

「高速堆肥化処理装置(ハザカプラント)」視察報告


「バクテリアを呼ぶ男―究極の生ゴミ革命」葉坂 勝著
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(続く)





浅野雅義

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農業生産と農業所得の金額推移

農業生産と農業所得の金額推移

 社会実情データ図録より 

 ~以下引用~

   
 農業を議論する前提として、日本農業の基本的な数値である農産物の総売上(農業生産額、農業総産出額)と農業所得の値を押さえておこう。常識的な農業生産額という表現は、GNP統計上の純生産額(所得額)と紛らわしいので、産出額、あるいは粗生産額という用語が使われている。

 農業の産出額は農業者段階の農産物価格(いわゆる農家庭先価格)をベースにしている。農業所得(生産農業所得)は産出額から飼料代・肥料代や機械償却費などの物的経費を差し引き、補助金等を加えたものであり、農業者の人件費、地代、利子を含んでいる。

 2007年の農業総産出額は8.2兆円であり、1980年代後半の12兆円弱の水準からかなり低下している。

 8.2兆円というのはどの程度の規模かというと、2007年のGDPが516兆円であるので、その1.6%である。また医療費(2006年度)は33億円であるので、その25%、4分の1である。

 なお、2004年度では「農水産物の国内生産が12兆円であるのに対し、飲食費としての最終消費額は80兆円の規模まで膨らんでいる」(平成19年度食料・農業・農村白書)。輸入農産物、及び食品工業、飲食店、卸小売業などの所得が加わるため国民が飲食に消費する金額は農業総産出額に比べずっと多いのである。

 なお、総産出額の部門別の内訳も大雑把に押さえておこう。かつて農業総産出額が約10兆円だった頃、米と園芸品目(野菜、果実、花き)と畜産がそれぞれ3兆円ずつと私は覚えていた。図を見ると大体そんな感じである。現在は米2兆円、畜産2.5兆円、園芸3兆円で合計8兆円という位に変化している(その他は大体1兆円)。

 総産出額は金額であるので、農産物の生産量と価格が影響する。生産量が同じでも価格が上昇すれば産出額は増加する。そこで、参考のために、農産物の生産量の推移を示す農業生産指数の推移を掲げておいた。

 産出額と生産指数の推移を比べると、1990年代前半までは、生産量は、毎年の増減はあるものの、ほぼ横ばいだったのに対して、産出額は増加した(少なくとも1980年代までは)のに対して、1990年代後半からは、生産量レベルが低下傾向となり、産出額はそれ以上に低下してきている。

 次ぎに、生産農業所得の推移を見ると、1970年代後半、1990年代前半には、5兆円に達する年もあったが、最近は、かなり減少し、3.1兆円(2006年)となっている。

 3.1兆円で何人が食べていけるかという点であるが、もし平均所得が500万円必要だとすると、62万人が食べていける勘定となる。実際の所は農業従事者が556万人、農業が主の者だけだと335万人いる(2005年、図録0530)。

 農業総産出額にしめる生産農業所得の割合が、所得率、すなわち農業者の手元に残る割合であるが、1975年当時は50%を越えていたのに対して、最近は4割を切っている(2006年には37.0%)。所得率には、農業生産に肥飼料や機械などの物的資材をどれだけ使うか、また農業資材と農産物の相対価格動向が影響を与える。

(2009年2月20日収録)

 ~引用終わり~




正国稔

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種は人類共有の文化財産

1950年代まで、日本の農村では日常的に自家採種が行われ、野菜、豆類、イモ類、雑穀などは各地で独自の品種群を形成していた。しかも、農家の自家採種だけでなく、種苗会社からの委託生産を行っていた種生産農家が全国で約六万戸にものぼっていたのだから、農家の育種技術は確かに継承されていたはずだ。

ところが、70年代になると、農家は毎年種を買うようになる。その結果、自家採種の技術を受け継ぐ人は減少の一途をたどってきた。当たり前に種をとっていた世代は、すでに70歳代だ。農家の技から採種・育種が失われ、同時に各地で在来化した種も急速に姿を消している。こうして栽培植物の品種の多様性が失われれば、気候の変化に対応できる植物のもつ強さも失われ、地域の自給力と文化も失われていくことになる。

食と農の応援団、本野一郎プロフィールより以下抜粋

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 食生活の安全・安心は、誰がどこでどんな風に、どんな気持ちで作ったか、どうやって届けられたかを知ることで、確保できます。しかし種は、国際的な種苗特許と企業秘密の向こう側で、それが見えなくなっています。「遺伝子組換え種子」の実用化と「日本で開発されたF1種子」が輸入農産物として逆輸入されはじめています。
 食の安全・安心を求める基本は、種を生産者の手に取り戻し、品種の多様性を確保し、消費者の食文化に位置づけることであり、そのためには自家採種を復活しなければなりません。
 お金にならないものは価値がないとする近代化の流れは、種子の生産拠点を海外に移し、種子自給率は28%となり、栽培植物の多様性と土着性は急速に失われています。これは、私たちが伝統料理や郷土料理といった食文化を失い、人類共通の財産である栽培植物の多様性を失っていることなのです。種をもっと身近なものにしておくとともに、農家に残された先祖伝来の種を発掘し保存しておく必要があります。
 人類は農業を始めるまでは、採取・狩猟によって生きていたわけですが、その採取植物の品目は一万種と推定されています。そして農業が始まる一万数千年前から、人類は人口を支える必要に応じて、採取植物の中から栽培植物を選抜し、起源地から世界各地に伝え、その地方の風土に適応させ、自然淘汰と人為的な選抜を経て独自の品種を多様に生み出していったのです。現在、栽培している植物は、世界中で408品目とカウントされています。農業一万年の歴史はその意味で、育種の歴史であったともいえます。
 自分の住む地方で採れた旬のものを食べるのが、体によいと言われてきました。ところがほとんどの種が外国で生産されているとしたら、「身土不二」「地産地消」はどうなるのでしょうか。豊かな食文化を生み出すために、どんな種から作られたものか、どんな料理に向いているかに関心を向けたいものです。安全・安心の暮らしは、消費者自身の生活様式から生み出されるのです。
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自給の大切さは、これまで多くの人々によって語られてきた。しかし、その基礎には種の自給がなければならない。生物の多様性の大切さを共通認識とし、人類を支えてきた栽培植物品目と品種の多様性が危機に瀕している事実が伝わってこそ、地域自給や地産地消は説得力をもつ。

種の伝播の歴史は、気候や風土と人の流れが混在している。ところが、現代においては、略奪に近い形で一方的に先進国への種の遺伝子が集中している。それが特許としてF1品種になり、遺伝子組換え種子として流通している。この不正な流れを、村の自給・種とりネットワークをとおしてかえていかなければならない。種の遺伝子は種を採種し、育て、食する人々の手にあってこそ安全に保存できるのだ。






芝田琢也

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『食と農と環境をつなぐ』 蔦谷栄一 著  「地域社会農業の確立に向けて(2/2)」

本文中のコラムを抜粋し、紹介する。

■本当の安全・安心は家畜の健康から
人間の病気の歴史を振り返ってみると、史上最もたくさんの人間の命を奪ったとされる疫病である天然痘は牛の病気、麻疹(はしか)は犬のジステンパーが突然変異したもの、結核やジフテリアも牛、インフルエンザは豚と鶏、ハンセン病は水牛という具合に、病気の多くは家畜から感染したとされている。インカ帝国を征服したスペイン人が勝利した最大の理由が、スペイン軍兵士が持ち込んだ天然痘の爆発的流行によりインカ軍兵士の多くが死亡したことにあるという話は比較的よく知られている。

畜産の近代化によって狭い空間に押し込められ、ごく限られた空間の中でしか運動は許されず、草食動物の場合でも穀物飼料中心であり、病気予防のためたくさんの抗生物質が投与されることによって、家畜の基礎体力、健康度が低下してきているのである。

経済効果優先で病気が発生しやすい飼育環境をそのままにして、対処療法的に抗生物質等を供給して病気発生を抑えている面があることは否定しがたい。健康度の低下が免疫力の低下を招き、さまざまな病気に感染しやすくなり、さらに抗生物質が必要とされるという悪循環を招いてきた。原点に立ち返り、家畜の健康度向上に取り組んでいくことが必要だ。

■今こそ食農教育、農業体験教育を
教育は国の基であり、子供は国の財産であって、教育の持つ意味は重大で、深くかつ広い。教育は英語でeducationというが、その本意は持っているものを引き出してやるところにあり、競争原理とは程遠い。子供たちに求められるものは何よりも体験を通じての生きる力の獲得である。若者に必要なのは社会のために心身を賭して汗をかくことである。

ノルウェーのオスロの郊外にある「おばけの森の幼稚園」という、0歳児から6歳児までを対象とした園児が総勢36人くらいの私立の幼稚園の事例。ここでは6歳児になっても教えることはしない、ということを基本原則としている。すなわち幼稚園児は“学ぶ”時期にあるのであって、“勉強する”時期ではない、というのだ。

あくまで遊びを基本にしながらきちんと発言できるようにする、ケンカをしてもその理由を言葉で表現できるようにする、後片付けは自分たちできちんとやる、といったように、体験的に友達とのコミュニケーションや守るべきルールを身につけ、また自己表現できるようになることが重視されている。

知識を身につける前段では、体験、特に体をつうじての体験が必要であり、都市化した中では意識的に自然に触れ、土いじりや虫遊びを通じて五感を発達させていくことが求められている。市民農園、都市と農村の交流等、教育面でも農業が果たさなければならない役割は大きい。的外れな教育論議に農業界からも反論していくべきだ。

■若者を緑の防衛隊に
農村を守っていくためにはとにもかくにも人出がいる。美しい農村の景観は、大規模生産者だけの手だけではとうてい守りきれない。風景・景観という金銭には換えられないものを維持していくためには、小規模生産者、多くの地元住民の手なくしては実現できない。

少子・高齢化社会に突入した今、こうした地域の活動への若者の本格的な参入なくして国土保全は早晩困難となること必至である。徴兵制に替わる国土・森林・農村維持に若者が貢献できるシステム構築が不可欠である。それが真の教育改革にもつながるものと考える。

■“協同組合の時代”の担い手として脱皮を
著名な経営学者ピーター・ドラッカー氏は、企業も含めたあらゆる組織は、社会的な貢献がその存在意義であることを一貫して主張するとともに、企業にあっては、利潤動機ではなく企業の倫理性、価値観が重要であり、組織の価値観と個人の価値観が一致した時、人は働く喜び、生きる喜びを覚えることを強調している。まして、共同組合組織、農協においてをや、である。

もはや今の世の中は利潤原理だけでは如何ともし難くなっており、本質的には協同組合組織等の活動なくしては農業・農村、地域・コミュニティーの維持はますます困難となりつつある。そしてあらたな“協同組合の時代”に向けての胎動が各地域で散見もされるのである。協同組合精神を支柱に時代の変化に対応して農協は、脱皮することができるかどうかが問われているのである。





小松由布樹

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『食と農と環境をつなぐ』 蔦谷栄一 著  「地域社会農業の確立に向けて(1/2)」

■平成20年11月10日刊行。
著者が農林中金総合研究所に勤めながら雑誌・新聞等に寄稿したコラムを一冊にまとめたものです。その時々の情勢、見方、主張等をそれなりの思いを込めて書いた著者の高い見識の文意は、読む者をうなずかせます。仕事柄数多くの生産現場の方々に出会い、また毎週末には山梨県にある菜園で過ごし、地域の方々とつきあい、そこで農業体験塾を主宰し農村と都市との交流を仲立ちしてきた、まさに「食と農と環境」を現場で見聞きし考えを実践しています。

本書は、食と農と環境の現状を鋭く見つめ、これからのあり方を示唆しています。わかりやすく、読む者を引き込み、一気に読めます。農業者や消費者はもとより地域リーダーとして農業委員、行政関係者必読の書です。

●ポイント
◇筆者の日本の農業に対する基本的な考え方(はしがきより)
農業は産業であると同時に、生業であり営みであり、暮らしと不可分一体となったものである。そして農業は“自然”に全面的に立脚しており、不合理で、人間の力では如何ともしがたい生命を土台とする生命産業であると同時に、多面的機能をも担っている。その意味で農業は、市場原理の世界と自給・非市場価値の世界の両面を有しており、市場原理の世界とバランスをとっていくことが不可欠ではある。

しかしながら非市場価値の世界と切り離された農業は本来の農業ではあり得ず、農産物は単なる商品と化し、工業生産、工場労働による産業でしかない。そして農業は次第に市場原理の世界に席巻されて単なる産業となるにしたがって、人間が人間らしく生きていくために不可欠な家族・地域・自然等との関係性を崩壊させ、
人間世界のみならず生物世界も含めて持続性・多様性を喪失させてきた。

これからの日本農業は、①豊富な地域性・多様性、②きわめて水準の高い農業技術、③高所得かつ安全・安心に敏感な大量の消費者の存在、④都市と農村のきわめて近い時間距離、⑤里地・里山・棚田等の優れた景観、⑥豊かな森と海、そして水の存在、等の豊富な地域資源を生かした、地域社会農業を目指すべきであろう。

◇あらためて強調しておきたいこと
1.穀物価格の高騰、食糧自給率逼迫・不安定化は来るべきものが来たということであり、もはや食糧自給率の向上、食糧安全保障確保についての百の説教よりも、早急に米粉、飼料イネ、飼料米のための非主食用米生産増強による水田農業の再編を行うべきであって、そのためには再生産を保証する「水田維持直接支払い」の導入が不可欠となる。

2.担い手の高齢化、限界集落化、遊休農地等も増加など、担い手は絶対的不足状況いあり、専業農家だけでなく兼業農家、自給的農家も欠かすことのできない貴重な担い手である。多様な担い手を前提としながら、農地を集積していくメリットを創出していくことが必要である。

3.食と農のもつコミュニケーション能力の偉大さを再認識し、多少なりとも国民すべてが農との関わりを持つことが出来るようにしていくことが必要である。人間が求める豊かさは、物から、人と人とのつながり、コミュニケーションへと移りつつある。

4.子供たちにとって食農体験はきわめて重要であり、こうした機会を日常レベルでもっともっと体験させていく必要がある。手や体を使い、自然に触れ、戯れることによって、はじめて生きていく力、コミュニケーション能力を獲得していくことも可能となる。次代を担う子供たちがまっとうに育ってくれるかどうかは、日本の将来の国力・水準そのものに直結する。

5.海外から日本を見ることも重要である。日本の常識は必ずしも世界の常識ではなく、むしろ非常識であることも多い。WTOの世界とはいえ、いずれの国の家族経営農業者も、暮らし、地域を大事にしていることに変わりはなく、家族農業経営者どうしは相互に置かれている状況について理解しあうことは可能であることを実感している。





小松由布樹

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日本経済の再生はちょっとした郷土愛や祖国愛で実現可能

『2009/01/25 JOG-Mag No.582 愛国心で経済再生』(Japan on the Globe-国際派日本人養成講座)リンクより転載します。
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■4.日本のおかしな食糧事情■

自給率と言えば、食料の問題もある。日本は世界最大の食糧輸入国で、食糧自給率はカロリーベースで39パーセントと、主要先進国で最低の水準である。

その一方で、政府はコメの減反政策(作付面積を減らして生産量を抑える政策)を続け、今や減反面積は水田の約4割に達した。米作の生産性向上により供給が増える一方で、食生活の変化によりコメの消費量が減り、売れ残りが生じてきたためである。耕作放棄地も、この狭い国土で埼玉県に匹敵する面積となっている。

この状況は国民の大半がおかしいと感じている。95パーセントが食料の確保に不安を感じ、85パーセントの人が減反政策を見直すべき、と考えている。[3]

自給率の低下は安全保障上の問題を引き起こすだけではない。国土の荒廃をもたらし、国民生活に損害を与える。日本学術会議が平成13(2001)年に発表した「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について」によると、農地と森林は毎年、次のような効用を生んでいる。[4,a]

・洪水防止機能      3兆5千億円
・水源涵養機能      1兆5千億円
・土砂崩壊防止機能      5千億円
・土壌浸食防止機能      3千億円
・保健休養・やすらぎ機能 2兆4千億円

合計8兆2千億円と、国民一人あたり年間6万5千円もの価値を毎年、生んでくれている。言い換えれば、農地・森林が失われることで、洪水や水不足、土砂崩壊、さらには観光資源の減少によって、国家経済上も大きな損失を被ることになる。

■5.地球0.4周分の食料輸入距離■

さらに海外からの食料輸入は、ムダなエネルギーを使う。

消費される食料の量に運搬距離をかけ合わせたフードマイレージという尺度がある。我が国の食料輸入量(平成13年)は5万8469トン、平均輸送距離は1万5396キロメートル(地球の約0.4周分!)で、フードマイレージは約9千億キロ・トン。世界ダントツの一位で、2位の韓国、3位のアメリカの約3倍と突出している。

全国民の食料の6割を、地球の0.4周分もはるばる運んでいては、輸送エネルギーも膨大である。輸入小麦で作った食パン1斤を国産小麦製のものに変えるだけで、クールビス2日分以上のCO2抑制効果がある、という。

結局、国民が食料安全保障にも、国土保全にも、地球環境にも気を使わず、安くて良いものなら、どこからでも買うという自己本位の消費を続けた結果が、こんな矛盾を生んでいるのである。

■6.「地域の共同体が農業を支える」■

さて、この問題にも磯前教授の提案する「愛国心で経済再生」のアプローチが有効である。実際に各国でそのような運動が始まっている。[5]

北イタリアで始まった「スローフード運動」は、現在100カ国以上に広がっている。ハンバーガーやフライドポテトのような「ファーストフード」が大量生産された輸入食材を使い、世界どこでも均一化された加工食品を提供するのに対して、「スローフード」は「郷土料理や質の高い食品を守る」「素材を提供する生産者を守る」「消費者全体に食の教育を進める」といったテーマのもとに、「地方の食文化」を伝え残そうという活動である。

「農と自然の研究所」代表理事の宇根豊氏はドイツでのこんな体験を紹介している。[4]

ある村ではリンゴをジュースに加工して付加価値を付けて販売していた。そのリンゴジュースが飛ぶように売れているのだそうだ。・・・町の人たちは「このリンゴジュースを買って飲まないと、あの村の美しい風景が荒れ果ててしまう」と言って買うのだそうである。・・・リンゴはリンゴだけでは育たない。

同様に米国でもCSA (Community Support Agriculture)という取り組みがある。「地域の共同体が農業を支える」という意味で、一年分の農産物の購入を事前に契約するなど地域の農業を消費者が支援し、環境保護と地域コミュニティーの維持を目指す活動である。

我が国でも「地域の産物を地域で消費しよう」という「地産地消」活動が広がっている。
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猛獣王S

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【書籍紹介】バイオビジネス 本物技術と顧客満足の追求者  東農大編

書籍紹介

東農大生物企業情報学科 編「バイオビジネス3 本物技術と顧客満足の追求者」 家の光協会 の紹介です。

本文中で、いくつか紹介されている事例の中で「サカタのタネ」の営業システムを抜粋紹介します。

■サカタのタネの営業システム
 ――ニーズ把握と信頼獲得のノウハウを一般化――

 サカタのタネの前相談役佐久間寛氏は、入社以来、一貫して営業畑を歩み、会社の成長に大きく貢献した。

1)種苗業界ではじめての販売活動の展開
 坂田種苗は、通信販売が中心で創業者は「良いもの(種子)は売れる」という考え方で、種子を持ち歩いての営業や販売は皆無であった。野菜では、全くの後発メーカーであったが、種子をカバンに入れて、福島県、東北地域を手始めに営業活動を開始し、後に大発展することになる。当時の種子販売は、地方に代々続く種屋(種子商店)と農家との一体感が強く、後発の知らないメーカーから種子は入れないという厳しい状況であった。
 種苗の営業は、野菜の春蒔きと秋蒔きの時期に、全国の種苗店を順次回って営業活動を行う。そのために種苗店といかに信頼関係を築くかが種苗メーカー最大の課題。

2)信頼を勝ち取る営業ノウハウ

①人と話すときは、相手の目を見てしっかり話せ。
 「相手の目を見て話をすれば、相手は、絶対に嘘は言えない。だから必ず商売のことでもなんでも、目を見て話をすることが大事である。」

②お店に行ったときに、伝票の氏名や住所は何も見ないで書け。
 「店に入る前に覚えればいいんです。それから前の年に何をどれくらい注文してもらったのか、全部頭の中に入れておく。その産地の状況も把握して会話をする。そうすると、『あ、この人は自分の産地まで勉強してくれているのか』ということになって、信頼感をもってくれる。」

③産地の情報をできるだけ収集せよ。
 「市場に行くと、どこの県のどこから何が入ってくるのかが全部わかるんですよ。市場に行って勉強して、どこからどういうに荷姿で入ってくるのかを見るのです。」

④会った人の特徴や性格などは覚えておけ。
 「必ずその人の特徴なりを全部頭の中に入れておいて、2回目、3回目に会うときに、その人の特徴にそった話題で話を進める。そうすると必ず本音で話せるようになる。信頼もできてきて、困ったときに逆に助けてくれるようにもなる。」

⑤相手が間違ったことを言ってもその場では否定せず、次回会ったときにその誤りを丁寧に説明せよ。

⑥お客さんが他社の種を使っていても、批判や自社の宣伝は一切しない。5年先、10年先を見越して、自社種の栽培試験を依頼する。そしてそのときは圃場の真ん中で行うようにお願いする。
 「相手の取り扱っている種子が100%他社の種子であり、地域特性から最適な種子でない場合など、『他社の種子よりうちの種子のほうがいいですよ』なんて1回も言ったことはない。そういう品種が長続きするわけがないんです。必ず3年先5年先にはそのつまずきがきます。ですから、必ず試験栽培だけはしておきなさいと。その栽培のなかにサカタの品種を入れてくださいとお願いします。

⑦産地作りのはじめは農家の奥さんたちに説明せよ。
 「われわれが産地作りをしたときは、男の方は来る必要はないと、全部農家の奥さんたちを夜、公民館に呼んで、それでトマト、キュウリの作り方を教えたんです。男の人は酒を飲むだけで、農家で仕事をしているのは奥さんなんです。奥さんが熱心になれば、それで奥さんに現金収入ができれば皆で旅行しようじゃないかと、温泉旅行しようじゃないかということで、経済連の課長、部長それから県の普及員の先生、県の園芸担当者の方にも来てもらい、夜、2時間なり3時間なり、公民館で話をするわけです。少しずつ利益が出るようになると結局、親父連中が本気になって、産地を作って行くわけです。」

以上のような営業マンとしての基本姿勢を常に心がけながら保守的な農家や農協の壁を打ち破り、信頼の輪を大きく拡大していった。種苗店や農家のニーズを徹底的に解明して、技術部門に伝えて、最も望まれる新品種の開発をともに行った。開発された新品種は有力農家の圃場で試験栽培をお願いし、その結果をもって地域の農家、種屋、農協への普及と名前の浸透を図るとともに、市場(卸売りや仲買人)への売り込み、そしてスーパーなどの大手取引先の開拓など、生産から消費全般にわたる産地ケアー体制を確立して、産地作りを指導した。
 こうした佐久間氏の努力の結果、東北地域全体にわたってキュウリ、トマト、ダイコンの大産地をいくつも作り上げることに成功した。こうした営業システムと技術力が結びつき、サカタに飛躍的な発展をもたらしたのがプリンスメロンの開発。
 1982年佐久間氏は、本社の卸部(野菜種子営業部)次長に就任。営業を順調に増進させ、同社最大の売上利益をもたらす営業部となった。翌年の決算では売上高200億円の大台を超えた。




長谷暢二

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市場原理につなげる農業 の可能性

市場原理がすべてではないとは思うのですが、農業を市場原理に乗せることに一定の成果を出している企業もあるのではないでしょうか。

皆さん、既知であると思いますが、代表例がワタミ。

ここが、一定の成果を出している理由のひとつとしては、市場原理の否定ではなく、農産業における、生産~商品流通・消費の全過程における、従来の、市場原理のギャップ・歪みなどの問題構造を、①生産手段の保有制度面(所有、賃貸制限) ②資金調達面(投資参入制限)③経営リスク面(所有と経営の分離、大規模化によるリスク分散) ③雇用面 ④ 商品流通面 ⑤需要確保面のすべての局面において、問題の要所要所を的確に解決する形で、システマティック、かつ、包括的に、いわば製販一貫体制で、ほぼ、100%近く自社のリソースで直接、実行してしまったところにあるのではないでしょうか。

つまり、ワタミを中心として、農業で成果を上げている企業の共通点は、おおむね次の点に集約されている用に思われます。

①土地はリース   =所有と経営の分離、=資産オフバランス、参入初           期コスト削減
②製・販・流通一貫 =中間コスト削減
③仲買とミックス(直営+提携+外部調達 =安定供給確保で、リスク分散

さらに、ワタミの強みは、出口戦略として、エンド消費者との接点として、レストラン、小売チェーンを自社経営しており、エンド需要・マーケット把握、コスト削減、安定需給の確保を可能としているところにあるのではないでしょうか。

そして、これらの戦略の原点にあるのが、農地法、JAの存在など、他の産業に比べて、農業がインフラ産業であることによる保護を目的とした、各種、規制による「市場原理の加工」を逆に、取り除くことにあると思われます。

もちろん、農業が安易な担い手、投機マネーの流入により、さらに荒廃してしまうことは問題ですが、個人経営・零細化によるリスク負担、経営能力の限界が見えている以上、法人参入の活性化、それを促すための雇用形態・担い手の多様化、流通過程における障壁の除去により、消費者の健全な需要を生産現場ストレートに伝えることのできるマーケティング原理を導入することが必要なのではないでしょうか。

ロマンや使命感、哲学だけでは、”業”として成り立たない。
でも、”儲け”がなければ、それは、誰に評価されているということになるのか?


儲かる=市場で流通性が高い=需要が高い=皆の正しい評価を受けている
ことが、システムとして当たり前として循環すること。

これが、すべての問題であり、また解決策ではないとは思いますが、
大きな柱として、上記のような視点で捉えられるでは?

やや甘めの表現をしてみると
「市場に架せられた歪みを取り除き、真の市場(みんなが認めた価値の交換の場)につなげる方法」を追及することが必要であると思いました。





竹村紀子

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農商工連携で農業から「地域産業」を興す~JA石見銀山の取組み

今や全体としては農家の農協離れが進行中だ。「農協が農家をダメにした」などとも言われるが、一方で、同じ生産課題の下に、これほど多くの会員が組織化された集団は他にはないだろう。その意味でも、農協が本気になって農家を統合すれば、これほど強い組織はないし、いくらでも可能性があるのではないだろうか。

以下に紹介する事例も、やはりJAが中心となって取り組んだ成功事例である。農業協同組合新聞「JAcom」より転載する。

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地域を元気にするJAの挑戦 ~ルポ・今、JAの現場では
■「小さな農地は小さいなりに生かせるはず」
 農商工連携で農業から「地域産業」を興す
 (JA石見銀山(島根県))

◆地域の「物語」を売り出す

島根県大田市を管内とするJA石見銀山は、平成5年に大田市農協、温泉津農協、仁摩町農協が合併して誕生した。正組合員は約5500人、准組合員は約8800人で農産物販売額は26億円ほど。農産物では米、ブドウ、柿などが特産、販売額のうち19億円は畜産品というのも特徴だ。「規模からいえば吹けば飛ぶような農協です」という廣山勝秀組合長のJA運営の理念は「農業者だけでは食っていけん。商工と一緒になってアイデアを出す」である。そのひとつが「芋ラガー」の開発・販売だ。

石見銀山地域には「いも代官」と呼ばれている井戸平左衛門の功績が今に伝えられている。平左衛門がこの地に赴任したのは享保の大飢饉の時代。食料不足に苦しむ農民ために命令なしに幕府直轄の米蔵を開放する決断をしたり、薩摩から種子を取り寄せ甘藷の栽培を奨励した。それから300年近くを経た今、過疎化と農家の高齢化が進み耕作放棄地も増え始めた。名代官の登場などあてにせず自分たちで地域を何とか支えなければならない時代だ。思いついたのがさつまいも。それを原料にしたラガーの製造を考えた。

一面識もないのに訪ねたのが芋ラガー先進地、埼玉の川越。JA石見銀山の原料で製造、地域ブランドとして販売したいという申し出に「地域振興に役立つなら」と快く応じてくれた。アイデア自体は4、5年前から思いついていたが石見銀山跡が世界遺産登録されるという動きが出てきたころから、地域の特産品づくりとして行政とも連携、本腰を入れた。発売開始はちょうど遺産登録がかなった19年。JAは農家が栽培したさつまいもを買い取ることにし、さらにそれをラガーの原料としてだけでなく菓子の材料としても地元の業者に供給、土産品として販売した。

世界遺産登録された昨年度、人口約4万人の大田市に訪れた観光客は約140万人。その人たちに「いも代官」という地域の物語がラガーやお菓子として発信されている。一方、さつまいもの栽培は肥料や防除にコストがかからず、「言葉は悪いが横着栽培」(組合長)でよく、高齢者でも作りやすい。「お年寄りにも声をかけ少しづつ栽培が広がればいい、と考えています」。

また、世界遺産は島根県のシンボルでもあることから県内JA間連携も進める。石見銀山にはない農産物を近隣のJAに補ってもらう考え。すでに他JAと連携、そのJA産の漬け物等を扱っている。「何でも自分たちでやると考えることはない。隣のJAの力を借ります」。

新商品も続々と開発。酒米を地元清酒業者に提供している日本酒「銀のしずく」、米粉を使った「銀ちゃんラーメン」のほか、氷感技術を使った「石見銀山天領米」も大田市の認証産品に認定されブランド米として売り出し中だ。この氷感技術も地元企業との提携だ。マイナス6度の冷凍保存でも高圧電流をかけると凍らないばかりか、旨味が向上することが分かった。JAが集荷した農産物と倉庫での実証試験を持ちかけられたことがきっかけで商品化を実現。

果物や花など長期保存できるため出荷時期をずらして有利販売できる。また、牛肉もこの技術で旨味が増すと地域では評判だ。「ロットで勝負できるJAではない。付加価値を上げるアイデアを考えたうえで農家に生産してもらう。それがJAの仕事。契約栽培の拡大もめざしたい」と岩佐重信常務は話す。

◆農地を守るミニ放牧

サツマイモのほか、梅や大豆でもJAは買い取りを実施している。梅もかつて鉱毒を消すためにこの地で栽培奨励されたもの。ここにも地域の物語があり地元の加工業者に販売。大豆はこだわりの豆腐業者向けだ。サツマイモをはじめJAの買取販売品取り扱い高は700万円ほどだが17年度以前はゼロだったから、農商工連携の象徴といえる事業部門が生まれ始めているとみるべきだろう。

ただ、少量多品目で付加価値をつけた販売をめざすといっても、現実には高齢化の進行、また都会へと人が流出するなか耕作放棄は進む。そこで地域の農地維持を考えたのがミニ放牧だ。この取り組みは廣山組合長自身が12年頃から試行的に自分の集落、三久須地区で始めた。他集落の繁殖農家から牛を2頭借り、集落で管理が不可能になった水田に放牧する。放牧に任せた分、繁殖農家は頭数を増やせるではないか、と合意した。

人手不足で草刈りもままならなくなった集落の棚田を「人畜連携」で守ろうというこの試みに、それは面白いと最初に乗ったのはガソリンスタンドの店主。その後もJRや病院勤務など農業者ではない集落の住民で三久須地区に放牧組合を結成するまでになった。集落内13haの水田と畑、山に電牧柵をめぐらせ放牧地とした。冬の間は山間部に移動させる。

放牧組合と畜産農家の間で預託料金などお金のやりとりはない。「忘年会のときにお互いビールを持ち寄る程度」であくまで「地域を崩壊させないための取り組み」だ。牛が順番にきれいにしてくれた農地にはそば、そして芋ラガーの原料となるさつまいもを栽培する。

JAの事業は商工連携で、という廣山組合長。同時に地域農業を守るには農業者以外のさまざまな職種の人が「地域再生支援者」だと考えている。
(転載終了)
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参照⇒「芋ラガー」




小松由布樹

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