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農村を活性化させる為には?

農業という地域産業の活性化事例~モクモク手作りファームに学ぶその1~

農業による地域活性化の成功事例として様々な地域・メディアから注目されている「モクモク手作りファーム」。
スタートは1987年4月に現社長木村氏と専務吉田氏によって伊賀豚の手作りハムのブランド化を目指してということだったそう。
その後、農業を基軸に据えた大規模な農村型テーマパークとして大成功を収めています。
年間50万人が来場し、リピーターも多く、ネット上での口コミも大評判。

その大成功の理由を探るべく、財団法人 都市農山漁村交流活性化機構(リンク
の調査による木村氏の言葉を掲載いたします。

以下引用
――――――――――――――――――――
地域産業マネージャー先進事例に関する調査3 モクモク手づくりファーム
1. 概要・産業化についての視点
2007.07.06

地域産業マネージャー先進事例に関する調査3.2007.07.06
対象者 木村代表社長理事
地域・取組み名称
農事組合法人伊賀の里 モクモク手づくりファーム

(中略)

1.財政リスク
●立ち上げ資金はいくら? どうしたか? 
●初期投資について
●その後の資金調達先と推移について
⇒立ち上げ資金=200万円×19件の出資を獲得、最初から一流の事業を目指した。
補助金を3,800万円加えて7,000万円をJAから借り受け立ち上げ資金とした。そして、約10年後の1995年にモクモクファクトリーパーク「モクモク手づくりファーム」を15億円の資金(その内5.4億円は国県の補助金)を投入しオープンした。その後も、制度資金を積極的に活用している。

2.人材リスク
●事業開始時のスタッフは誰?
●人材はどこから調達したか?
●その後の推移は?
⇒生産農家19軒の協議会の代表として経済連を退職し事業を開始。そして、事業が順調に推移する中で、多くの若い人材が全国から応募してくるようになった。また、地域からもパートを中心に雇用を図っている。

3.リスク負担
●スタートから現在までのリスク負担について、どのようなリスクがあり、誰がそれを負担したか?その後のリスクは?
●制度等の壁はあったか?
●事務所等の設置はいつから、どのように?
●設備やラインの導入はどうしたか?
●既存インフラの利用は検討・利用したか?
⇒事業当初、操業半年で3,000万円の赤字を出した。それは、「手づくりだから売れる」と いうことの誤算であった。良いハムなのに売れない現実に対して、工場見学やウインナ作り体験など工場に消費者を呼び寄せファンになってもらう戦略を採ることによって危機を回避した。そしてその後、大きな課題であったのは、制度の壁をどのように超えるかであった。
⇒地ビール生産における麦芽工場には大きな壁があった。一般に流通する麦芽の発芽工程の設備は規模が大きく全く手が出ないものであった。そこで考えたのがお茶の乾燥機による発芽、そして日本酒の麹菌発酵器、結局世界一小さな麦芽工場が稼動した。

4.素材調達と廃棄物
●当初の原料調達は?その後の推移は?
●地域資源の利用状況は?
●在庫管理はどうしているか?
●廃棄物管理はどうしているか?
⇒地域内からの調達を基本としている。

5.販売促進
●当初の販売促進手法は?
●その後の販促手法の推移について?
⇒「モクモククラブ」3万人のファンが、この事業を支えている。当初、3,000万円の 赤字を半年で出したことの反省から、消費者とのつながりが最も重要との認識から、事業の趣旨を伝える努力を欠かさずおこない、ものづくりでつながる関係が 作り上げられている。同時に、農業公園テーマパークへの入場(年間40~50回のミニイベントを開催)と通販がこのファン層とのつながりを支えており、事業の骨格を形成している。

(中略)

8.経営管理
●当初から、経営管理をおこなっているか?
●生産・流通・販促・営業・人事・労務・財政・資産の運営管理ができているか?その手法は?
⇒当初は、手づくりだから売れるとの確信から始まったが、その間違いに気づき早い段階で消費者ニーズに沿ったマーケティングを基本とした経営管理がおこなわれている。また、経営管理において、ファンド的な「物言わぬ株式制度」が可能か検討中。

9.経営企画
●経営資源のマネジメントが機能しているか?
●人・もの・金・情報・技術・ネットワークを把握し、運営管理ができているか?(PDCAサイクルが機能しているか?)
⇒地域資源を積極的に活用することを基本に、マネジメントサイクルが組み立てられている。

10.情報・マーケティング力
●需要の想定と、その手法は?
●事業の独自性を意識したか?またその手法は?
●外部情報やニーズ情報がマネジメントされているか?
●当初、およびその後のマーケティングはどうしているか?
⇒すべては、商品のストーリー性をつくることが基本となり、モクモクのファン作りを目指したマーケティングが展開されている。また、専門のデザイナーなどと組み、イメージについてもコントロールしている。

11.経営能力
●論理と直感に基づく経営度合いは? 理論← →直感
⇒完全に理論的におこなわれている。

(中略)

13.ものづくり開発体制
●R&D、いわゆる調査と開発の体制は?
●品質・価格・デザイン・ものづくりの思想性に関するマネジメントはどうなっているか?
●当初は?その後の推移は?
●生産ライン、設備はどうなっているか?
⇒すべて消費者の購買分析と会員の意見に基づき、商品開発と販売手法の革新を実行。

14.デザイン・知的財産
●デザインや知的財産の管理・活用状況は?
⇒デザインは重要であるとの認識から、専門のスタッフと契約し活用している。

――――――――――――――――――――
(引用終わり)

ちなみに、2012年4月にTV番組で紹介されたモクモクファームの会員数は4万2000人。
この時点での調査より着実に数字を伸ばしています。

私が注目したのは
「手づくりだから売れるとの確信から始まったが、その間違いに気づき早い段階で消費者ニーズに沿ったマーケティングを基本とした経営管理がおこなわれている。」という部分。

ホームページを見ると、雰囲気が良さそうで、楽しそうでついつい「今度の休みに行ってみようかな」と思う自分がいました。
しかしその雰囲気作りの背景には、しっかりと消費者のニーズを掴み、
その中で自分たちのブランドをどう確立させていくかを分析した結果がある。
だからこそ多くのファン層を獲得し、地域からも愛されているのでしょうね。



あしか

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「農業の復活」は今や「自給自足」の課題(2)~日本の農業の方向性

継続紹介していきます。
最後に日本の農業の方向性を示唆しています。

>土壌劣化の原因は化学肥料・農薬の大量投入とモノカルチャー(大面積での単一作物栽培)と言われる。モノカルチャーとは農業の産業化だ。かつて人間の大半は自給自足の生活をしており、農業は多品種少量生産が基本だった。しかし、「人間万事金の世の中」になると、農産物は、工業製品と同じく、換金目的の「製品」に変質した。当然、大地主や大資本が、金儲けのために、土地を集約し、機械化による少品種大量生産に乗り出す。

現在、飢餓人口を抱えている地域では、それがわずか数十年のうちに急激に進行し、その他の産業が育つ余裕すらなかったのだ。飛行機で肥料や農薬を散布し、巨大な農業機械を使う大規模農業は土の中に棲む生物(菌類・微生物を含む)を死滅させ、同一作物の連続栽培は土の成分を吸い尽くす。

その証拠に、この50年間、野菜に含まれる栄養素が減り続けている。ホウレンソウ100g中に含まれるビタミンCは1950年に150mg、1985年に65mg、そして2000年には35mgと激減している。同じく鉄分もmg→3.mg→2.0mgとなっている(科学技術庁:日本食品標準成分表)

かくして土地の生産性は低下し、地下水の汚染や過剰な汲み出しと相俟って農地は劣化し耕作不能となる。「緑の革命」からわずか50年にして現代農業は持続不可能と分かって、世界各国は自国民の食料確保を最優先で考えるようになっている。昨年、ロシアが小麦の輸出を停止したのはその一例に過ぎない。

取り敢えず、それぞれの国が、その与えられた環境の中で、可能な限り食料自給率を高める努力をするしか方法はない。

日本の農業はこれからどうあるべきだろうか。

正反対の二つの道があるが、役割分担で両立させることはできると思う。一つは、農業の産業化を更に進めて「植物工場」の普及を図ることだ。非常に「不自然」な方法だが、背に腹は替えられないと言うことだろう。作物によっては2毛作どころか、5毛作、10毛作も可能だ。日本はこの分野でも最先端にあり、大いに期待できるが、過信は禁物。この方法は「不自然」であるが故に、循環型ではなく、常にエネルギーを注入し続ける必要があることを忘れてはなるまい。

もう一つの道は有機農業・自然農業への回帰だ。日本の農業には、縄文以来の「持続可能な発展」の実績がある。これほど長く耕作を続けながらいまだに国土の7割を緑に保っている地域はこの地球上にはない。先端技術を使っての伝統農業の復活は十分に可能だと思う。

田野健

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【農業】福井県若狭町「山心ファーム」新規就農者に経営託す

ここるいネットでも度々紹介されている、かみなか農楽舎と福井県若狭町ですが、血縁を超え農を中心軸とした村落共同体の萌芽を予感させる記事がありましたので紹介します。

注目ポイントは、長年行ってきた田畑を息子ではなく外から入ってきた人へ”事業継承”という形で受け継いでいるところ。
これならば、これまで叫ばれていた農地法の弊害(権利の移動がしづらい)といった問題も解消できます。

担い手が減少し続け耕作放棄地の増加が懸念されている昨今ですが、行政・民間・農家が本気で一丸となれば、今回のような事例は今後どんどん増えていくのではないでしょうか。


日本農業新聞e農net(リンク)より転載。
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農外からの新規参入者を農業後継者に育てる動きが出てきた。第三者継承など、地域農業の基盤を受け継ぐ新たな担い手育成の取り組みを追った。

 福井県若狭町の山あい。米麦を中心に受託を含め約50ヘクタールを経営する合同会社・山心(さんしん)ファームは、設立日の今月25日をめどに代表が交代する。

 法人化から丸6年。地域農業を支えてきた川上正博さん(63)は、後継者と見込んで指導してきた脱サラ就農者のはい島照樹さん(35)にバトンを渡す。

・法人化から6年 態勢万全に次代へ

 はい島さんは東京都の出身で大手食品卸に勤めていた。金沢市への転勤時に自立できる職業を志した。北陸で田園風景に触れ、農業が選択肢になった。ハローワークを通じてIターン研修を受け入れる旧上中町(現若狭町)の「かみなか農楽舎」を見つけた。

 かみなか農楽舎は、行政や地域の農家らでつくる農業生産法人。定住促進や集落の活性化を目的に、研修生に農業を伝授しながら実際に生産する。2002年春から受け入れ、32人を送り出した。一人の脱落者もなく全員が就農し、24人が若狭町内に定住するという実績を誇る。

 はい島さんはその3期生だ。2年間の研修を終えた06年4月から、川上さんの下で働きながら指導を受けることにした。設備や技術の面から、いきなり自力で農業を始めるのは難しかった。「早く独り立ちするには一番厳しいところがいい」と、町を介して川上さんの門をたたいた。

 川上さんには長男の真輝さん(34)がいるが、当時は農業共済に勤めていた。「息子でないとあかんということはない。一人前になったら、わしんとこ継げよ」。はい島さんの意欲にほれ込み、受け入れた。

 同時進行で、普及センターの助言で法人化を目指した。経営継承を円滑にするためだ。合同会社は、06年5月に施行された会社法に基づく形態で、少人数での起業に向く。山心ファームは北陸第1号として同年7月25日に設立した。

 法人化から2年半。09年2月に川上さんが頸椎(けいつい)を傷め、4月に手術する事態になった。その間の規模拡大で、はい島さん一人で全てを担うのは困難だった。農繁期が迫る中、長男の真輝さんが農業共済の勤めを辞め農業に加わった。

 構成員6人の山心ファームを核にした農業は、運営を明確に分けている。農業生産を法人が担い、乾燥・調製部門の経営は法人と切り離した。農機や設備は川上さんが所有し、法人と乾燥・調製部門に貸し付ける。各部門の経理を明確に分け、収支を厳しく見ている。

 真輝さんが就農しても、?島さんに法人を引き継ぐのは既定路線だった。「夢を持ってやって来た。働きぶりを見て腹は決まっていた」と川上さん。真輝さんには乾燥・調製部門の経営を任せた。地域からの受託を含め50ヘクタール分に上る。

 真輝さんは「規模が規模だけに分業しないとやっていけない。はい島さんは農業に関わった年数で先輩だし、経理や段取りなど運営能力は私より上。適材適所でいい」と話す。

 はい島さんは「形の上で私が代表になるが、真輝さんは私の足りない面を補ってくれるパートナー。遺伝なのか、機械操作も上手だ」。同年代の二人は互いに信頼を寄せる。

 はい島さんは就農してから川上さんに連れ歩いてもらい、地域に溶け込んだ。真輝さんが加わった今の役割分担から3年余。川上さんは「もう社の顔が変わっても、どっちも大丈夫」とうなずく。川上さんを「親会社みたいなもの」(はい島さん)と頼りつつ、次世代が新たなステップを踏み出す。
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千葉敏昭

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農村レストランと攻めの産直の展開/「江刈川集落」の取組 その1

岩手県北上山系んお奥深い葛巻町の江刈川集落に住む町役場勤務の公務員夫妻が、地域活性化のために「農村レストラン」のそば屋を開店、地域に雇用の場を創出し、さらに地元産品の加工場、そして、県都盛岡への主張型の「攻めの産直」に取り組んでいる事例を紹介します☆

以下「農」と「食」の農商工連携 著:関満博 より引用

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公務員夫婦が集落の女性たちを集めてスタート
高家卓範氏と章子さん夫妻は、いずれも葛巻市町の職員であった。自宅は江刈川集落にあり、夫婦は20年ほど前から標高550mのこの土地で何かできないかを考えていた。卓範氏は「県内でも葛巻町は山の中、同じ葛巻の中でも江刈川はさらに奥。戸数は56戸、人口は200人ほどだった。『江刈川はい良いところ』と言われるようにしたかった。地元の水車やそばはそのために使えると考えていた」と語っていた。

夫婦はそば畑のオーナー制やそば祭りの開催を試みたが、賛同を得られず挫折。そのため、当時、新しい家を建てて空き家になっていた旧自宅に着目、改装してそば屋を開くことを決意する。卓範氏44歳であった。集落の多くの人々に声を掛けたが、ようやく賛同してくれた水車組合の9戸の主婦と1992年8月に「高家領水車かあさんの会」を立ち上げる資金は高家夫妻が出し、建物もある。お母さんたちには「そば打ち技」を提供してもらい、お父さんたちには「了解」してもらい、時々、労務提供してもらう。高家氏は「お金を出した人だけが出資者ではない」と語る。

活き活きしている姿を見るのが幸せ
農村レストランの「森のそば屋」は1992年11月に開店、「自分たちでそばを栽培し、水車で挽き、手打ちで出す」ことが最大の特色である。当ス初、周囲の目はひややかであったが、開店当初から大繁盛となった。

開店時間は10時30分~17時まで。出勤は9時、退勤は18時であった。しかし、近所の女性たちは夜が明ける頃には準備のために集まってきていた。
年配の女性たちは「お金が貰えて楽しい。歳をとってここに来れなくなったら悔しいでしょう」と語る。時給は600円+食事。働いているのは70前後の集落の女性たちで、15~16人の方がローテーションで働いていた。

売上は天候に大きく左右される。2007年は年間で1万5000人が訪れ、最大で1日200人であったが、最低0人の日が2日あった。

高家氏は「10aの畑で2俵(1俵45kg)のそばが採れる。市場価格は1万5000円だが、粉にすると7万2000円になる。それを生そばにして宅配で売ると18万円になる。さらに食事として提供すれば48万円になる」と語っていた。

集落の3.5hの畑が森のそば屋に確保されていた。売上額はやや落ち着き、年間1900万円。900万円が給料として支払われていた。高家夫妻は無給。「地域の皆さんが活き活きとしている姿を見れているのが幸せ」と語っていた。

農村レストランと攻めの産直の展開/「江刈川集落」の取組その2に続く



八幡早紀

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農業は週休4日でやるので充分→余力の創出が採算性、生産性を上昇させるという発想

もちろん繁忙期には業務が集中しますが、閑散期をゆっくりと休むことそしてなにより小規模なことが実は自然の摂理にも合っているし、なにより採算性もよくなると提唱している方がおられます。この方は「農!黄金のスモールビジネス」(築地書館発行)の著者の杉山経昌さんです。

年間売り上げ500万規模の農業をされていますが、夫婦2人で食っていくのに充分。車だって大型テレビだって充分買える。それは食費等の生活費がほぼゼロでおさまることもありますが、なによりこの採算性を維持させているのが年間で平均すると週休4日となる労働量にある。
休日は趣味を充実させることもありますが、なにより工夫や追求の時間がいくらでも取れる。そうして週3日の労働に反映させることで、どんどん生活がスリムになっていく。
例えば、農作業機を改良してみたり、作物ごとの採算計算を綿密に行えたり。販売は直売所で充分いける。

そして労働しない時間はたっぷりと土壌を休めさせられるので、環境にもやさしい。結果農薬や肥料の投入量も減り、原価が減って利益が上がっていく。作物の質も上がり、単価が上昇していく。
規模を拡大するのは簡単ですが、そうすると採算がどんどん悪くなる。だから、政府が主導している大規模化などのアメリカ型農業への移行には反対。そしてJAは寄生虫なので、利用しない。こうした500万農家がどんどん増えることこそが、日本の農業の未来の可能性だと仰っています。半農半Xとまではいきませんが、確かにこうした農業が増えれば食糧自給率もあがっていきそうです。

この本を読んでいて可能性を感じたし、思い出した文章があります。
>従って、食糧も含めて物的生産に必要な国民の労働時間は5時間程度に縮小する。
ここで、仮に農共と企業との交代担当制において、企業では従来どおり8時間働くとすれば、農村共同体での労働時間はわずか2時間となる。いったい、残りの時間は何をするのか?
これは、まったく新しいスタイルの生活が始まるということであり、大胆な頭の切り替えが必要になる。255242「潮流予測4 農(漁)村共同体の建設」

>運動を立ち上げるには、余力と拠点が要る。更に、運動を成功させるには、理論が必要になるし、広宣活動も必要になるし、情報収集も必要になるが、理論を追求するにも、広宣活動を展開するにも、情報を収集するにも、膨大な余力(時間)が必要になる。そして、もちろん、それらの活動は、何れも専任した方が集中できて高度化してゆくので、専任化した方が有利になる。264228「大衆には、運動を立ち上げる余力が無い→余力を与えられた悪徳エリートが支配する社会」

生産性も上がり、しかも余力も創出できる。自然の摂理にも近い。農業というライフスタイルの可能性がまたひとつ見つかった気がします。



かなめんた

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農業はめちゃめちゃ魅力がある。農業はかっこいい産業だ!~農業生産法人・株式会社サラダボウル~

故郷の山梨県中央市で2004年、農業生産法人・株式会社サラダボウル(従業員30人)リンクを起業した田中進氏(39)さん。「農業はめちゃめちゃ魅力がある。農業はかっこいい産業だ。」と言い切る彼は、年収7000万円のエリート外資保険営業マンから農業に転進したそう。

最初はわずか60アールの耕作放棄地を借りて始め、試行錯誤の繰り返しだったそうですが、味が評価されたことで売上は順調に伸び、7年間で赤字はゼロ。

彼の想いが詰まった講演議事録(?)を読み、彼の人(人の意識)に対する鋭敏な感覚が成功の秘訣ではないかと思いました。紹介します。リンク
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株式会社サラダボウル田中社長
農業で幸せに生きる

(前略)

大学を卒業し銀行に5年、保険会社5年間勤めさせて頂きました。金融と言う仕事を通し、ありとあらゆる職業の人と出会いました。そこで、頑張っている人、一生懸命に働いている人には多く出会いましたが、夢中で仕事している人にはなかなか出会うことはできませんでした。
そんな時に自分のDNAの中に農業が入っている事に気が付いたのです。外では農業の愚痴や悪口ばかり言っていた父が、家では農業の素晴らしさを毎日語っていた姿を思い出しました。ある光景を今でもはっきり覚えています。サクランボの収穫直前、大きな管理ミスをした時です。被っていた帽子を地面に叩きつけ「ちくしょう」って言いながら涙をこぼしていたのです。ここまで夢中になれる仕事に携われることは本当幸せなことだと思います。

いつからか「農業はかっこいい仕事だ」と感じるようになっていました。農業は儲からないと刷り込まれていましたが、金融機関に勤める中で、この産業は儲かるとか、この産業は儲からないという事ではないことを学びました。どんな不況業種にもピカピカに輝く会社もあるし、どんなに好景気の業種にもダメな会社はあります。その会社が、その経営者が、どんな姿勢で取り組み、どれだけ情熱を傾けるか、どれだけ創意工夫をするかで結果が決まるという現実を見てきました。農業でも一緒ではないかと思うようになりました。そういう視点で考えると「農業は大きなビジネスチャンスだ」と思えるようになっていたのです。いつの間にか、農業をアグリビジネスとしてとらえ、事業計画を立て始めていたのです。

父は今までの農業の歴史の中で一番発展したのは疎開時代だと言います。都会から疎開して来た農業を全く知らない人たちが、農業に革新的な技術をもたらしたのだと。農業の常識を疑い、非常識を農業の常識にしたのだと。一番古い仕事なのに「こんな事もできる」「あんな事もできる」とまだまだやり残されている事があまりに多い事を感じます。一番古い産業でありながら、一番のフロンティアなのです。

2004 年4 月、農業の会社を作りました。テーマは「日本の農業の新しいカタチを創る」。農業はカッコイイ仕事であり、農業はこんなにも素敵な仕事なんだ、という事を伝えていきたい。そういう想いがありました。
設立当初より、生産と同時にホームページにも力を入れています。(是非一度ご覧になって下さい。)目的は人づくりです。人づくりに特化しています。

ブログに毎日5~6 千件のアクセスがあります。毎日1・2件農業をやってみたいという相談がきます。今、ものすごく農業の持っているポテンシャルの高さを感じています。アパートを7 部屋借りて年間で100 名程の研修生を受け入れています。もっと沢山の人が農業をやりたいと希望を持っているのですが、100 名位しか受け入れられないのが現状です。
農業は本当に大きなチャンスの時代です。例えば次の3点などは特徴的です。

まずは、「ヒト」。本当に多くの人が農業を目指してやってくるのです。高齢化・担い手不足と言われますが、農業は他の産業よりも「ヒト」に恵まれています。
次に「農地」。飲食業であれば店舗開発には非常に苦労します。製造業であれば工場用地を探すのに苦労しますし、取得するに多額の投資が必要になります。農業では遊休農地などが沢山あり「ここも借りてくれ、あそこも貸してやる」と向こうから与えてくれるのです。
販売はというと、農産物を買ってくれる人は非常に増えています。今、非常に農業が注目されておりますが、生産現場には入ってこないのです。「こんな物語のある野菜をインターネットで売りたい。」「オーガニックショップで取り扱いたい。」「こういうお客様にお届けしたい。」そういう人たちばかりです。みんな私たちから見るとお客様ばかりなのです。

こんなに追い風の産業はないのではいでしょうか。今、農業は本当に大きなチャンスです。現実の農業現場では高齢化が進んでいて、農業の先は無いと言われます。しかし、少し「目線を変える」「何かを変える」と農業現場はチャンスがばかりです。

農業を始める時、違和感を感じたことがあります。他の業種と比べて農業は恵まれすぎていると感じたのです。20 日も雨が振り続き不作になると、国から補助金が貰える。たとえば、飲食店を経営していたとします。20 日も雨が振ればお客さんは激減します。本当に大変です。資金繰りも苦労します。そのため、どうすればいいのか?必死に考え、創意工夫をし、努力します。農業はまだまだ努力できるポイントがたくさん残されているように思います。

サラダボウルに農業を志しやってくる彼らは非常に前向きです。農業の魅力にどっぷり浸かっています。どんな農家より農業に夢中になっています。
朝、仕事が始まる1 時間前に自主的に集まって勉強しています。たとえば、先ほどのDVD で紹介した彼は農業高校を卒業してサラダボウルに入社しましたが、卒業を迎える春休みの事前研修で、学校の先生から「期末試験で赤点が科目かあり、卒業するために追試が必要ですので、帰してくだい。」と言われたエピソードがあります。しかし、今ではそんな彼が「今まで勉強がこんなに面白い・楽しいと感じた事は無かった」と言います。そして、生産現場のリーダーとなっているのです。今日学んだことが、即現場で目で見ることができる。試すことができる。命に携わる農業という仕事の素晴らしさなのでしょう。

今までは農業を仕事にまで導いてあげる組織がありませんでした。そのため「NPO 農業の学校」を立ち上げました。各地に農業大学校や農業の教育機関がありますが、即戦力にはるという風にはいきません。今の農業教育には課題もあり、農業現場と離れてしまっています。

知識はなくとも、現場の力があれば、とりあえず給料が払えます。そういう仕組みを作ると、人が集まってきます。どんどん集まってきます。農業は技術さえあれば「幸せに生きていける」産業です。

(後略)
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谷光美紀

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農家の為の共同組合ではなくなった農協。

以下、清谷信一ブログ「清谷防衛経済研究所」リンクより引用です。

筒井康隆の小説「ノーキョー月へ行く」という小説がその昔ヒットしましたが、かつて「ノーキョー」といえば傍若無人な日本人団体旅行の代名詞の代名詞でした。
  21日、全農( 全国農業協同組合連合会)はコメの架空取引、横流などで国の補助金約1200万円を不正に受け取っていたという、悪質な所行がバレた。

農協の存在意義とは本来農家の利益や農業の振興が目的であるはずです。
 拙著「自衛隊、そして日本の非常識」でも指摘していますが、肥大化した全農は、その組織の拡大と利益の拡大のみが目的となっており、もはや存在理由はありません。

 農協とはいうまでもなく、農家の為の協同組合です。元来、肥料、農薬などの各農家がそれぞれで購入するより、共同で仕入れることでコストを下げる。これまた各農家が単独で行うのでは手間暇がかかりすぎる生産物の集荷、出荷などを行ったり、大型の機械や灌漑、その他大規模な設備の整備、新しい農業技術の普及などによって農家の利益を図る組織だったはずです。

 ところが全国で組織化され、ピラミッド型の組織となった農協は完全は「独占企業」となり、肥料や農薬、農耕機具などは、農協を通さないと供給者であるメーカーや商社も、顧客である農家も取引ができなくなり、価格は農協の意のままにつり上げられました。新しい農業技術を普及させる農業指導員の数も減り続けてきました。

 つまり、農家は農協があることより割高な商品、サービスを強要されきたわけです。
 これが日本の農業のコストを押し上げる一因になっています。
一部の反骨的な農家を除いた多くの農家はこの状態を唯々諾々と受け入れてきたわけです。また農協を出てしまうと、灌漑などの面で著しく不利になり「村八分」となるわけです。
 
 農家に支払われる補助金が農協を通じて支払われるという仕組みを農水省と農協、そして農水族とよばれる族議員がつくってきました。
 すなわち、農協にはいっていないと補助金はもらえない仕組みとなっているわけです。
 農協に加盟し、族議員に投票する限り、天からお金がじゃぶじゃぶ振ってくる。しかも農家カンバンをかけているだけの第三種兼業農家ですら、その恩恵にあずかれるわけです。誰だってまともに働く気は起きないでしょう。
 安易な補助金ばらまきはこれまた農業のコストアップになり、国家財政の負担を増やしてきました。その金は主として企業や都市部の人間の税金です。

更に農協は金融部門を拡大してきました。本来これは農地の改善や、農耕機器などの購入の為のローンなどを目的としてした相互補助のための金融機関でした。ですが、農業関係以外に進出し、本来の役目を忘れているといってもいいでしょう。のみならず住専の破綻を見ても分かるとおり、巨額の損失を出しており、農家の利益を損なってきいます。JA共済などCMをみても分かるように、もはや農業従事者のための
金融機関ではありません。

つまり農協とは既に農業共同組合ではなく、金融、スーパーなどの小売店で農家を囲い込んだ「田舎の独占企業」なのです。株式会社の農業参入など防止し、農業保護によって日本の農業の競争力を奪ってきた元凶です。その共犯が今度のコメの不正取引を非難しているフリをしている農水省です



八幡早紀

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NPO農業の学校~農業者としての人材育成に主眼を置き、年間100人の新規就農希望者をサポートする~

■NPO農業の学校:農業の入り口から就農までをサポート
農業生産法人 サラダボウル社長 田中氏が農業に夢を抱く新規就農希望の若者たちのために2005年に設立。年間100人ほどの就農希望者を受け入れ、山梨県を始めとする全国の農家に研修生の訓練を委託している。
研修生にとっては、短期・長期で期間を選べる上、研修先は全国好きな地域のプロの農家。生産現場で実践的な訓練を受けることができる。
また、農業技術、資金、機械のレンタル、住居、農地、農産物の販路までのきめ細かい支援を受けられ、就職先も紹介してくれる。
「思い立ったらすぐに農業が学べる場所」(田中氏)であるNPO農業の学校は、農業を目指す人と農家をつなぐ組織であり、農業未経験者を即戦力として育てるインキュベーションなのである。

■農業者としての人材育成
田中氏は農業者としての人材育成に主眼を置く。
『大事なのは、昨日来た研修生が戦力になる、素人集団で回せる仕組みにすることです。』と説く。要は「エースで4番ではなく、普通の子を育てる」。普通の人が活躍できる場をどう整えるか。「昨日来た研修生が戦力になる形、作業をどう作るかなんです。」
彼流の人材育成は、「新しい研修生の面倒は、少し前に来た研修生が見る。線が切れずに繋がっていく。」というもの。
全体の仕事を単純化し、どんな人間が就いても即座にできる仕組みで総合力を発揮、且つ、個人が明確な目的を持ってもって成長していくことができる組織・人材育成論である。
「農業はすごくシンプルだから、夢中になりやすいんですよ。僕はただ、本物の農業をするために何が大切なのかを教えてあげているだけ。農業の面白さに気付いた若者は、努力を惜しみません」と語る。

研修先の一つでもある、田中氏経営のサラダボウルで働くスタッフには独立志向が多い。しかし、「人が人をよんでくる。」「独立できる力をつけさせるような会社でなきゃダメなんです。」と農業者の育成に主眼においている。

■農業生産法人 サラダボウル 田中氏の経営理念
主力は三事業。野菜生産部門とその野菜を食材に使うレストラン部門、それに農業参入を支援するコンサルティング部門。
田中氏の明確な経営方針はただ一つ。美味しい野菜づくりのために、栽培技術の進化と担い手の人材育成にこだわることである。
彼自身も農家のこせがれであり、金融ビジネスの経験を積んで、農業を始めた。
「金融時代にやっていたことも、農業でやっていることも経営の本質は実は同じ。現状の課題を洗い出し、問題点を分析し、解決策を見出せれば農業はフロンティアになります。」と説く。

さらに、「専業農家の父と意見が食い違えば食い違うほど、自分の意見は業界内では非常識なのかもしれないが、逆にこれは誰も気づいていないチャンス」と田中氏は語る。

 自身の経営にも金融時代に得た経験やノウハウを積極的に採用する。創業時に作業の段取りが悪く、大みそかの夜まで出荷に追われたことがあった。以来、トヨタ流の「カイゼン活動」を徹底。製造現場が推進する5S(整理・整頓、清掃、清潔、躾)活動も採り入れた。

元銀行員らしく、社員には徹底した合理性も求める。毎朝1時間の「自主勉強会」では、生産計画策定、工程管理、リスク分散、マーケティング戦略などがテーマになる。儲けを出すためにどうしたらよいか、従業員と一緒になって徹底的に分析する。

効率一辺倒の経営を目指しているように映るが、実は、ついていけずに辞める社員もいて悩んだこともあった田中氏。「最初はできる社員だけを選別していまし た。それが間違っていると創業3年目に気づきました。今は、高校野球の監督のように厳しくもあり、優しくもあり、従業員が農業をやって幸せだと感じるよう な会社にしないとうまくいかないと考え方が変わりました」


引用:
・NPO農業の学校 リンク
・いちぐう:農業者人材育成の助っ人、田中進さん リンク
・株式会社サラダボウル(山梨県中央市)農業を志すすべての人に就業のチャンスを!リンク
・この国の農業を変える異端児10人-08-サラダボウル・田中進社長リンク


田中一成

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【不耕起移植栽培】5.畜産糞尿の堆肥を使う有機栽培の落とし穴

引き続き、「不耕起移植栽培による環境保全型農業の全容(リンク)」岩澤信夫 の紹介です。

 私も、管理の行き届かない畜産糞尿、鶏糞利用については懐疑的でした。ましてや、一頃もてはやされた食品残渣の有機資材としてのリサイクル利用などもっての外だと思います。それは、田圃をゴミ捨て場としているに等しい行為だからです。その理由は、岩澤さんの文章で明らかでしょう。

〔注記:中見出しの設定(*)及び改行は、紹介者が行いました。〕

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◆畜産糞尿の堆肥を使う有機栽培の落とし穴(*)

 環境問題には農村そのものの環境問題が存在する。それはダイオキシン問題に始まる土壌残留農薬の問題である。幾ら何も使わない農業をしても大地そのものが汚染されていたのでは、栽培された作物の安全性は確保できない。

 現在の危険性の中に有機栽培がある。有機栽培の考え方に反対している訳ではないが、現在行われている有機栽培は化学肥料に変わる畜産糞尿の堆肥を置き換えたに過ぎない。これも耕起を前提にする農業から脱却が出来ないでいるからであるが、この畜産由来の堆肥の安全性は如何。

 畜産糞尿の安全性は確認さていない。現在の畜産は多頭飼育と濃厚飼料の大量投与に支えられている。この濃厚飼料こそ危険極まりない物質の塊である。その内容は90%以上が外国よりの輸入穀物で、遺伝子組み換え作物が主で必ずポストハーベスト農薬が添加されている。これを飼料工場で粉砕配合して大量加工をしている。

 日本は122種類の飼料添加物が許可されている。中には抗生物質やホルモン剤などの動物薬も含まれている。抗生物質などは我々人間が病院で消費するのは年間100t。医薬として消費するのが約400t。それに対して畜産飼料に添加されるものが1000t以上。この膨大な量が牛や豚の腹を通過している。

 糞尿には耐性を持ち変異した株が大量に排泄される。更にコンポスト化される過程で変異を繰り返す。極端な言い方をすれば変異株の中で作物が生産される事になる。これは大きな環境汚染で農薬に次ぐ重大な見落とし事項である。要は人間が食する作物作りに疑わしきは使わない事が慣用と思われる。早急に有機畜産の概念の普及が必要である。





小圷敏文

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【不耕起移植栽培】4.イネの切りワラと枯れた葉が植物性プランクトンの餌

引き続き、「不耕起移植栽培による環境保全型農業の全容(リンク)」岩澤信夫 の紹介です。

 ここが、「無肥料・無農薬栽培では、養分の収奪が問題にならないのか?」という『何で?』に対する核心部分だと思います。私も、除草剤を使わないイネつくりをしている田圃を見学したことがありますが、見事なまでにサヤミドロが繁茂している田圃に出会ったことがあります。

 また、隣接する慣行農法の田圃は、水は澄んでいるのですが、生物は見当たらない「サイレント・ワールド」であることに強烈な違和感を覚えたものでした。小動物を追う鳥類が、除草剤を使わない田圃の上だけを飛び交っている様子は遠目にも明らかに分かるので、消費者がそこに訪れるようなことを企画できれば、差別化が鮮明になることでしょう。

〔注記:中見出しの設定(*)及び改行は、紹介者が行いました。〕


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・《引用開始》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 イネという植物は常に5枚の葉で機能し養分を分配している。上の葉2,5枚は生育伸長に光合成産物のデンプンを供給し、下の葉2,5枚は根を担当している。イネの葉は常に新陳代謝を行い新しい葉が展開する。6枚目の葉が展開すると古い順に葉が1枚枯れて5枚を維持する。稲は約15枚の葉を出す。刈り取り時に5枚の葉が残っているから枯れた葉は10枚と言う事になる。この10枚の葉が水田を水田たらしめる大きな役割を持っている。

 不耕起移植水田は生きものが多い。多いといっても生半可な数ではなく、4月に親メダカを数十匹放せば8月には1万匹にもなる。数万匹のアキアカネの発生、数万個のタニシの発生、1500万匹のイトミミズの発生、数百万匹のユスリカの幼虫と数限りない水田の生物が発生する。

 なぜそんなに数多く発生するのかその謎は無限に近い餌と溶存酸素の多い水が要因である。不耕起水田は収穫時のコンバインによって切断された切りワラが絨毯の様に一面覆っている。その中に直接移植をするのであるから、切りワラは水中で分解する。水中分解はワラの養分を栄養源に大量の植物プランクトンが発生する。植物プランクトンが発生すればそれを捕食する動物プランクトンも発生する。両者を捕食する原生動物へと食物連の糸が繫がる。

 これらの大量の小動物の発生及び生息環境を整えているのは溶存酸素量である。植物プランクトンの大型のものにサヤミドロと言う緑藻類がある。繊維質で6月から8月の高温期に大発生し水田を覆う。サヤミドロは水中で光合成をして大量のCO2を吸収し大量の酸素を水中に供給する。この酸素が有るから多くの生きものが活性し大繁殖を繰り返すのである。

 残念ながら慣行の一般水田にはこの酸素を供給するメカニズムがない。それ故生きものが生息出来ないのである。さてこの切りワラの仕組みは色々な実験結果から、土を1cmでも動かすとサヤミドロは発生しない事が分かって来た。自然とは実に繊細なものなのである。(中略)

 先ほどのイネの枯れた葉は切りワラと同じく常に餌の供給を行っている。或いは酸素の供給装置を発生さている。なにしろその数たるや夥しい数になる。稲は10a当たり約20000株が植えられる。1株20本として枯れる葉の数は10枚であるから200枚、それの2万倍であるから400000枚の葉を供給している事になる。これが植物プランクトンの発生源として常に供給されているのである。(中略)

◆生きものいっぱいの水田で生産される米は、差別化できる(*)

 生きものいっぱいの水田は非常に環境に優しいと評価される。従ってここで生産される米は差別化の対象になる。実はこの差別化こそが大事で今後稲作農民が生き残るには重要な要素になる。(中略)

 消費のニーズは安全と環境である。このニーズを満たす農法は現在の機械化農法にはない。化学物質を一切使わない生きもの一杯の水田で穫れた米には説得力がある。水田環境を維持するには農民が必要である。その農民が高齢化に悩み後継者が育たない現在、耕作放棄地が続出し農村文化まで崩壊するに任せては、環境問題は語るに落ちないところがある。

 その中で元気が出る稲作手法の展開こそ閉塞間に満ちた農村の活性化を促す原動力になる。差別化商品を生み出す農民を育てる事が急務と心得る。

つづく




小圷敏文

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【不耕起移植栽培】3.水田の浄化機能

引き続き、「不耕起移植栽培による環境保全型農業の全容(リンク)」岩澤信夫 の紹介です。

 上流域の冷水の注ぎ込む水田の水口部に、ビオトープを設けて鮒や鯉を飼って水温の管理をする事例がありますが、その場合も、きちんとした飼料による有畜農業であるなら、その汚水浄化も兼ねられると思いました。

〔注記:中見出しの設定(*)及び改行は、紹介者が行いました。〕

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・《引用開始》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 水田は読んで字の如く水があって機能する。それが畑になっては水田の機能は消滅する。水田は水溜りなのである。稲刈り後の8ヶ月を水溜りにすれば河川湖沼の汚染も生態系の維持も解決する。それよりもこの水溜り維持は大きな福恩を齎す。災い転じて福になる。

 それは水の浄化である。水道水の浄水手法に緩速ろ過と急速ろ過の2つの方法がある。緩速ろ過は200年前に英国で発明された自然の浄化法である。原水池で自然の沈殿を待ち汚れの取れた上水を浄水池に落とす。

 浄水池は厚さ1m位の砂を敷き集水管を埋設して置く。浄水池には太陽光が降り注ぎ砂の表面を照らす。砂の表面には植物プランクトンである珪藻の一種メロシラが大発生する。流入される原水にチッソやリン酸などの栄養塩が多く含まれていればこれを吸収して更に大繁殖する。

 メロシラは太陽光を利用して水中で光合成をして水中に大量の酸素を供給する。この溶存酸素によって砂の表層には土壌生物や微生物が大発生をする。これらの生物が有害物質や有害微生物のチフス菌や0157などの有害菌までトラップする。最終的に分解出来ない塵を砂層でろ過する。この生きもの達を流さないスピードでろ過するので緩速ろ過と言う。しかし実態は生きものによる生物ろ過が正しい呼び方のようである。

 それに反して急速ろ過は原水を沈殿剤などの薬を使い、浄水池にはカルキなどの消毒薬を使い金魚も住めない水道水を供給している。生きものは皆殺し薬物によって処理し大量生産を行う。これを科学的と言うのは現在の稲作手法に似てはいないか。

 実は冬期湛水と不耕起移植栽培を組み合わせる農法のメカニズムは、生物ろ過の浄水場と全く同じメカニズムを内蔵している。違うところは水田土壌と砂と水田には稲の栽培を行っている事である。

つづく


小圷敏文

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