20年程前から過疎化に苦しんだ町では、当然のごとく農業の後継者不足にも悩まされていました。まちの振興策の一つとして仕掛けた『レンタアップル』制度は、生産者と消費者の有機的な関係を構築しました。お互いに顔が見える分、生産者にも責任感が生まれ、本当に安全な作物を作ることに専念するようになりました。むしろ、そうでなければ、消費者が離れていってしまい、責任を持たざるを得ない状況なわけです。

またそれだけでなく、これは農業の可能性を農家の方々に気づかせる要因の一つになりました。農業家は、これまでのようにただ作って農協に持っていくというだけでなく、どんなものが売れるのか、どうすれば売れるのか自分たちで考えるようになりました。さらに、そんな一生懸命な親の姿を見た後継者たちは、『親のやっている農業って、何だか面白そうだ』という感覚で、自然と農家を継いでいったそうです。
(話はそれますが、農家を継がない理由の一つが、親の仕事が魅力的に見えないからだそうです。これはどんな職業においても同じですよね。)
川場村は現在過疎がとまり、移住者も増えているそうです(もちろん、他にも多くの取り組みがあり、その結果としてですが)。
この話を聞いて、消費者と生産者の有機的なつながりが大切であることや、いろいろな可能性をもはらんでいるということを実感しました。有機農業の意味として、安全な食べ物を作るということが含まれるのであれば、それを生み出すために最も効果的なのは、両者の信頼関係の構築だと思います。そしてこれは生産と消費という単純で簡単な仕組みで構築できると思います。(こうした事業を始めるには、様々な苦労もあると思いますが)
さて、では生産者と生産者や社会全体の有機的なつながりって、どんなものがあるのでしょうか。
山崎もとこ
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