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農村を活性化させる為には?

【書籍紹介】そうだ、葉っぱを売ろう!過疎の町、どん底からの再生②

After Retirement 葉っぱビジネスリンクより転載

 四国の徳島県上勝町,人口2千人足らず,四国で最も小さな自治体である。しかも高齢化率(人口の65歳以上が締める割合)は徳島県でトップ(49.3%)。しかし,この町へ全国の自治体関係者が年間4千人訪れるという。目的は株式会社「いろどり」代表横石 知二から学ぶことである。「ここでしかできない町独自の仕組みをどう考えるか」。

 上勝町の農協(JA)は,朝9時全国の市場から電話が鳴りつづける。注文は「笹」「紅葉」「蓮いも」「山芋」「なんてん」「柿の葉」「栗の葉」などである。集まった情報を10時に町中の農家へFAXで送る。農家ではFAXで受けた一覧から受けたい注文を決める。農協へ受注の電話する。この時間は受注を争ってなかなかつながらない。受注に成功すると(先に受け手があるとダメみたいだ),さっそく山へ入って「山芋の葉っぱ」を取る。なんと10枚で250円になるという。金連葉(きんれんぱ)も1枚25円である。中には1枚で100円にもなるものがある。紅葉ジャンボ(大きめに切った紅葉の枝)は1箱で2500円ぐらいになるという。そして昼の出荷前にパック詰にして農協へ集めるのだ。この仕事に携わるのは平均年齢70歳の高齢者である。現在上勝町では200件近い農家がこの葉っぱを集めて出荷する農作業に従事している。約320種類の葉を「上勝町いろどり」というブランド名で全国に出荷しているのだ。午後には徳島空港に運ばれる。

 次の日には日本料理の妻物(料理を彩る葉っぱ)として添えられる。「上勝町いろどり」はシェア8割年商2億6千万円という。山の雑木林を「畑」と称し宝の山と変えたのだ。この「いろどり」は上勝町の第三セクターとして設立され,横石氏が代表となって葉っぱの生産・出荷を管理している。売り上げは累計で25億円を超えた。そんな横石氏は高齢化社会を変えた世界の起業家100人に名前を連ねる。

 横石氏は20歳で上勝町の農協へ指導員として就職。初めての職場は異様に思えた。町内の役場や農協には昼間から一升瓶を片手に(酒を飲んで)くだを巻き,女性は朝から晩まで尽きることなく他人の噂話や悪口を言い合っていた。歳をとり人に頼ることが主流であったという。この光景は非常によく分かる。家の近所も,職場で聞く話にもそんな光景は山ほどある。そして人に頼る生活は「補助金を取ってきてや」と言われたことによく現れている。高齢者に仕事がないことが生んでいる状況だ。これは多分上勝だけではない。これまでそれは議員を通じて,いかに金を当地へぶん取ってくるかが,公務員の仕事であったのだから。

 そして横石氏は大阪へ出張した折り,すし屋で意外な光景を目にする。若い女性が「これかわいい,きれいね」「もって帰ろうよ」と言って,きれいなピンクのハンカチにもみじの葉っぱを包んだというのだ。横石氏は「あんな葉っぱがきれい?珍しくも何ともない。上勝ならいくらでもあるのに」そしてたどりついたのが「葉っぱ」を売る商売だったのだ。横石氏は「どんな葉っぱがどんな季節に必要なのか,自費で料亭まで通って調べたという。そしてこれをビジネスとするには高低差の激しい上勝の自然の利がある。ここは年間を通じ,色とりどり,さまざまな種類の葉っぱが収穫できる。そして今,上勝は田舎町とは思えない立派な家が立ち並ぶ町にまでなった。

 高齢者を使ったビジネスモデルの成功例の一つだが,最初は「よそ者のおまえに何ができるんだ」「そんなことを言うやつは帰れ」「うちの町にはお前はいらないよ」「出て行け」とまで言われたそうである。それに対し「地方を再生するのは『よそ者』『ばか者(常識を破るものとの意味)』『若者』だ」という。つまりその土地の者にとって葉っぱは当たり前のもの。外部のものが初めて価値を知るという場合もあるのだ。当時の町民は仕事がないことへの危機感はなく,あきらめムードだったようだ。これは今の日本も同じようなイメージだと思う。町民の人口も下降線で外へ出て行こうとしていたので,家が建つことなんてありえなかったという。

 一つの人生観だと思うが,横石氏は「朝起きた時に,やらなきゃいけないと思えるものが,あるかどうか」「このことが一番大事だ」と思ったという。町おこしとか,村おこしとか言うけれど,問題は町や村ではない。そこに住んでいる人が何をするかということなのだ。





芝田琢也
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