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農村を活性化させる為には?

【書籍紹介】農業が日本を救う

○オムロンの「成功」と「失敗」
 オムロンが持つ世界屈指のセンシング技術を背景にしたハイテク栽培。市場流通を避け、スーパーマーケットなどに直接販売することで、計画的な生産、販売のメドも立つ。オムロンが日本の農業に革命的な変化をもたらすのではないか。そんな予感と期待が盛り上がった。
 だがトマトの初出荷からわずか三年も経たぬ二○○二年の一月二十一日、オムロンはトマト栽培にかかわった関連会社を解散して、農業からの撤退を表明した。ーーーオムロンの農業参入には二つの大きな壁があったと私は考えている。
・一つは、農業参入への社内的なコンセンサスがなかったことである。
 企業にとって農業はとてつもなく遠い。農業参入への社内のコンセンサスを形成すること自体がきわめて難しい。しかし社内のコンセンサスがなければ、成功までの苦しいプロセスに耐えられない。ましてや上場企業ともなれば、「社会貢献」の大義名分だけでは株主の賛同を得るにも限度がある。
・二つ目の壁は、農業の非合理性である。
 オムロンがそれまで営々と積み重ねてきた経験知が、農業においては役に立たないことがあまりにも多すぎたと言うほかない。(P85)

○ユニクロの農産物販売からの撤退
 永田農業研究所の指導を受けた全国六〇〇戸の農家と栽培契約し、通信販売と宅配を中心に販売が行われ、立ち上がり当初は、まずまずの勢いで売り上げが伸びたものの、長くは続かなかった。スーパーマーケットと比べると価格が割高であったことで販売が思うように伸びなかったばかりか、売れ残りのロスも大きく、黒字化のメドがまるで立たぬまま、販売開始からわずか一年半で撤退表明をせざるをえなくなってしまった。
・オムロンとの共通項。
 一つは、農業参入がオーナー経営者の強い意向で始まったこと。もう一つは、農業ビジネスに見切りをつけ、撤退を決断するまでに要した時間が非常に短かったことである。その背後には、農業に対する認識の甘さが透けて見える。(P87)

○ドールが育てた西洋野菜市場
 日本の農産物の付加価値の高さに早くから注目し、日本の農業の育成に大きな役割を果たしてきたのは、米国に本社を置くドールだった。ドールというとフルーツジュースがすぐに思いつくが、ドールはたんなるジュースメーカーではない。じつは、ドールは野菜や果物を日本国内で大量に生産している。ただしドール自身が畑を持つのではなく、契約栽培をする農家に対して、きちんとした生産のノウハウを伝えながら、ドール・ジャパンは品質の高い国産の野菜や果物を世に送り出してきた。
 ユニクロとの決定的な違いは、ここにある。ドール自身が農業のプロフェッショナルであるということだ。たしかに、ユニクロは生産者と消費者を直結させるビジネスモデルを衣料の世界でつくりあげた先駆者ではあったが、こと農業についてはずぶの素人だった。生産を委託するのは簡単だが、点在する畑を組織化して、商品企画から栽培、流通、販売に至るビジネスチェーンのすべてに責任を持って専門スタッフが関わるドールとでは、勝負にならない。(P90)

○カルビーがつくりあげた「三連番地主義」の成果
 スナック菓子だから、多少品質が劣っていてもよさそうなイメージがあるが、事実は逆だ。品質の良いポテトチップスは、品質の高いジャガイモなしには作れないのである。カルビーは「ポテトチップスになれるジャガイモ」の要件として四つの基準を挙げているが、これを見ると、ジャガイモ畑からポテトチップスに加工され販売されるまでのサプライチェーンの充実が、いかに生死を分けるかが理解できる。
 ①比重が高いこと  ②サイズが揃っていること  ③病気、キズ、打撲などの不良品が限りなくゼロに近いこと  ④チップカラーがよいこと
「畑にも工場にもスーパーにも番地がある。だから三連番地。いつ収穫するか、いつ生産するか、いつスーパーマーケットで販売するか。細かくいえば、三つ以外にも番地がある。工場に隣接する立体倉庫のなかにも番地がつけられ、誰が生産したジャガイモが、どこにあり、いつ使う予定になっているか。こうした情報がつながってこそ、おいしいポテトチップスを消費者の皆さんにお届けできる」(P93)

○ついに見えたカゴメの国産トマト単年度黒字化の道
 ここで注目すべきは、カゴメがなぜそこまでやりきれたのかだ。ジュースにしろケチャップにしろ、原料となるトマトは海外からいくらでも調達できる。しかしカゴメは自社によるトマト栽培に執着し、加工品の原料としてのトマトではなく、生で食べるトマトの生産にとてつもない執念を抱き続けてきた。
「一プロジェクトとしてトマト栽培をやろうということではなかった。ビジネスユニットとして、いわば役員の総意でこの事業に取り組んだ、という強烈な経営の意思がいまのトマト栽培事業を生み出したんです」
 企業の農業参入にとって必要なものは何か。カゴメは多くの示唆をくれる。ただし、カゴメの成功は栽培そのものの難しさと、国の規制との戦いなど、壮絶な苦闘の歴史の上に成り立っている。(P99)





正国稔
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