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農村を活性化させる為には?

『食と農と環境をつなぐ』 蔦谷栄一 著  「地域社会農業の確立に向けて(2/2)」

本文中のコラムを抜粋し、紹介する。

■本当の安全・安心は家畜の健康から
人間の病気の歴史を振り返ってみると、史上最もたくさんの人間の命を奪ったとされる疫病である天然痘は牛の病気、麻疹(はしか)は犬のジステンパーが突然変異したもの、結核やジフテリアも牛、インフルエンザは豚と鶏、ハンセン病は水牛という具合に、病気の多くは家畜から感染したとされている。インカ帝国を征服したスペイン人が勝利した最大の理由が、スペイン軍兵士が持ち込んだ天然痘の爆発的流行によりインカ軍兵士の多くが死亡したことにあるという話は比較的よく知られている。

畜産の近代化によって狭い空間に押し込められ、ごく限られた空間の中でしか運動は許されず、草食動物の場合でも穀物飼料中心であり、病気予防のためたくさんの抗生物質が投与されることによって、家畜の基礎体力、健康度が低下してきているのである。

経済効果優先で病気が発生しやすい飼育環境をそのままにして、対処療法的に抗生物質等を供給して病気発生を抑えている面があることは否定しがたい。健康度の低下が免疫力の低下を招き、さまざまな病気に感染しやすくなり、さらに抗生物質が必要とされるという悪循環を招いてきた。原点に立ち返り、家畜の健康度向上に取り組んでいくことが必要だ。

■今こそ食農教育、農業体験教育を
教育は国の基であり、子供は国の財産であって、教育の持つ意味は重大で、深くかつ広い。教育は英語でeducationというが、その本意は持っているものを引き出してやるところにあり、競争原理とは程遠い。子供たちに求められるものは何よりも体験を通じての生きる力の獲得である。若者に必要なのは社会のために心身を賭して汗をかくことである。

ノルウェーのオスロの郊外にある「おばけの森の幼稚園」という、0歳児から6歳児までを対象とした園児が総勢36人くらいの私立の幼稚園の事例。ここでは6歳児になっても教えることはしない、ということを基本原則としている。すなわち幼稚園児は“学ぶ”時期にあるのであって、“勉強する”時期ではない、というのだ。

あくまで遊びを基本にしながらきちんと発言できるようにする、ケンカをしてもその理由を言葉で表現できるようにする、後片付けは自分たちできちんとやる、といったように、体験的に友達とのコミュニケーションや守るべきルールを身につけ、また自己表現できるようになることが重視されている。

知識を身につける前段では、体験、特に体をつうじての体験が必要であり、都市化した中では意識的に自然に触れ、土いじりや虫遊びを通じて五感を発達させていくことが求められている。市民農園、都市と農村の交流等、教育面でも農業が果たさなければならない役割は大きい。的外れな教育論議に農業界からも反論していくべきだ。

■若者を緑の防衛隊に
農村を守っていくためにはとにもかくにも人出がいる。美しい農村の景観は、大規模生産者だけの手だけではとうてい守りきれない。風景・景観という金銭には換えられないものを維持していくためには、小規模生産者、多くの地元住民の手なくしては実現できない。

少子・高齢化社会に突入した今、こうした地域の活動への若者の本格的な参入なくして国土保全は早晩困難となること必至である。徴兵制に替わる国土・森林・農村維持に若者が貢献できるシステム構築が不可欠である。それが真の教育改革にもつながるものと考える。

■“協同組合の時代”の担い手として脱皮を
著名な経営学者ピーター・ドラッカー氏は、企業も含めたあらゆる組織は、社会的な貢献がその存在意義であることを一貫して主張するとともに、企業にあっては、利潤動機ではなく企業の倫理性、価値観が重要であり、組織の価値観と個人の価値観が一致した時、人は働く喜び、生きる喜びを覚えることを強調している。まして、共同組合組織、農協においてをや、である。

もはや今の世の中は利潤原理だけでは如何ともし難くなっており、本質的には協同組合組織等の活動なくしては農業・農村、地域・コミュニティーの維持はますます困難となりつつある。そしてあらたな“協同組合の時代”に向けての胎動が各地域で散見もされるのである。協同組合精神を支柱に時代の変化に対応して農協は、脱皮することができるかどうかが問われているのである。





小松由布樹
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