これは、市場の大原則である「略奪」「騙し(幻想価値)」「価格格差」という3軸から見て、最も遠い存在である事が農業=儲からない原因、と見る事が可能であるが、逆に言えばこのしがらみを突破しない限りは、農業の再生は困難になるとも言えるのではないだろうか。
農業の視点において、利益を上げなければならない理由は、初期投資にある。
実際に、ゼロから農業を始めようと思った場合に、土地・生産機器等の設備投資に、少なくとも2000万は掛かると言われている。
仮にこれらを借金によって賄った場合、毎月の売上げは食べるのに十分な量だけではなく、利子も含めて返済に充てるだけの「儲け」をあげなければならなくなる。
即ち、この社会において生産に携わろうとした場合、まず最初に「借金」が必要となり、次に元本以上の利子を支払う必要性が生じる為に、常に「儲ける」必要性が付加される事になる。
この仕組みは、農業に限らず市場に参加する万人に課せられた負担であり、世の中の大半のサラリーマンは、実は生きる為ではなく借金(住宅ローン等)を返済する為に日々労働力を提供する、という歪んだ構造が生まれてしまった。まさに、市場の奴隷と呼ぶに相応しい事態だ。
川井孝浩
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