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農村を活性化させる為には?

【不耕起移植栽培】4.イネの切りワラと枯れた葉が植物性プランクトンの餌

引き続き、「不耕起移植栽培による環境保全型農業の全容(リンク)」岩澤信夫 の紹介です。

 ここが、「無肥料・無農薬栽培では、養分の収奪が問題にならないのか?」という『何で?』に対する核心部分だと思います。私も、除草剤を使わないイネつくりをしている田圃を見学したことがありますが、見事なまでにサヤミドロが繁茂している田圃に出会ったことがあります。

 また、隣接する慣行農法の田圃は、水は澄んでいるのですが、生物は見当たらない「サイレント・ワールド」であることに強烈な違和感を覚えたものでした。小動物を追う鳥類が、除草剤を使わない田圃の上だけを飛び交っている様子は遠目にも明らかに分かるので、消費者がそこに訪れるようなことを企画できれば、差別化が鮮明になることでしょう。

〔注記:中見出しの設定(*)及び改行は、紹介者が行いました。〕


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・《引用開始》・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 イネという植物は常に5枚の葉で機能し養分を分配している。上の葉2,5枚は生育伸長に光合成産物のデンプンを供給し、下の葉2,5枚は根を担当している。イネの葉は常に新陳代謝を行い新しい葉が展開する。6枚目の葉が展開すると古い順に葉が1枚枯れて5枚を維持する。稲は約15枚の葉を出す。刈り取り時に5枚の葉が残っているから枯れた葉は10枚と言う事になる。この10枚の葉が水田を水田たらしめる大きな役割を持っている。

 不耕起移植水田は生きものが多い。多いといっても生半可な数ではなく、4月に親メダカを数十匹放せば8月には1万匹にもなる。数万匹のアキアカネの発生、数万個のタニシの発生、1500万匹のイトミミズの発生、数百万匹のユスリカの幼虫と数限りない水田の生物が発生する。

 なぜそんなに数多く発生するのかその謎は無限に近い餌と溶存酸素の多い水が要因である。不耕起水田は収穫時のコンバインによって切断された切りワラが絨毯の様に一面覆っている。その中に直接移植をするのであるから、切りワラは水中で分解する。水中分解はワラの養分を栄養源に大量の植物プランクトンが発生する。植物プランクトンが発生すればそれを捕食する動物プランクトンも発生する。両者を捕食する原生動物へと食物連の糸が繫がる。

 これらの大量の小動物の発生及び生息環境を整えているのは溶存酸素量である。植物プランクトンの大型のものにサヤミドロと言う緑藻類がある。繊維質で6月から8月の高温期に大発生し水田を覆う。サヤミドロは水中で光合成をして大量のCO2を吸収し大量の酸素を水中に供給する。この酸素が有るから多くの生きものが活性し大繁殖を繰り返すのである。

 残念ながら慣行の一般水田にはこの酸素を供給するメカニズムがない。それ故生きものが生息出来ないのである。さてこの切りワラの仕組みは色々な実験結果から、土を1cmでも動かすとサヤミドロは発生しない事が分かって来た。自然とは実に繊細なものなのである。(中略)

 先ほどのイネの枯れた葉は切りワラと同じく常に餌の供給を行っている。或いは酸素の供給装置を発生さている。なにしろその数たるや夥しい数になる。稲は10a当たり約20000株が植えられる。1株20本として枯れる葉の数は10枚であるから200枚、それの2万倍であるから400000枚の葉を供給している事になる。これが植物プランクトンの発生源として常に供給されているのである。(中略)

◆生きものいっぱいの水田で生産される米は、差別化できる(*)

 生きものいっぱいの水田は非常に環境に優しいと評価される。従ってここで生産される米は差別化の対象になる。実はこの差別化こそが大事で今後稲作農民が生き残るには重要な要素になる。(中略)

 消費のニーズは安全と環境である。このニーズを満たす農法は現在の機械化農法にはない。化学物質を一切使わない生きもの一杯の水田で穫れた米には説得力がある。水田環境を維持するには農民が必要である。その農民が高齢化に悩み後継者が育たない現在、耕作放棄地が続出し農村文化まで崩壊するに任せては、環境問題は語るに落ちないところがある。

 その中で元気が出る稲作手法の展開こそ閉塞間に満ちた農村の活性化を促す原動力になる。差別化商品を生み出す農民を育てる事が急務と心得る。

つづく




小圷敏文
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