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農村を活性化させる為には?

日本のリアル【田んぼには肥料も農薬もいらない】その2(岩澤信夫と養老猛司対談)

「田んぼには肥料も農薬もいらない」農法を普及させようとした岩澤信夫(1932年―2012年:千葉県成田市生まれの農業技術者)と解剖学者(養老猛司)が重要な問題を論じ合う対談集「日本のリアル:農業、漁業、林業、そして食卓を語り合う」が出版されたので参考になる事項を引用します。
以降「日本のリアル」を引用します。
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○現代の田んぼでは耕すことに意味はない 
~農協(農薬・肥料会社)の陰謀か?・自主管理の勧め~
岩澤:道端でも原野でも山でも、土を反転させたところなどありません。自然界の植物はすべて、耕していない地面に根を下ろし、子孫を繁栄させています。そういう仕組みをもつ植物しか地球上には生き残っていないんです。
 つまり、田んぼを耕すというのは、自然とは反対のことをやっているのです。そうやって、わざわざイネを弱くつくり、化学肥料と農薬に頼って育てているのですから、うがった見方をすると、そういう農業をするように誰かに仕組まれているんじゃないかとさえ思えます。特に農協は、不耕起冬季湛水栽培が普及すると困るでしょう。農薬も肥料も売れなくなりますから。
養老:もし農協がそう考えているのだとしたら、それは既成組織が抱えている最大の問題ですね。組織は巨大になればなるほど、自分たちの仕事を変えられなくなります。いつだって物事は動いている、自分たちはいつも途上にあるという気持ちをもっていればいいのですが、なかなかそうなりません。既成の考えにとらわれ、縄張り意識を働かせ、自分たちがつぶされると思って守りに入る。安定した状態が続かなくなるという不安が大きいんでしょうね。
 世間ではよく官僚がよくないと言いますが、そうではなく、どんな組織でも官僚化する危険性をはらんでいるんです。やっぱり実際の仕事をするならば、「いつも途上」と言う気持ちをもたないと。
岩澤:農協が悪いわけではないのだと思います。時代に合わなくなってきているのです。・・・
このままでは、農協の流通に頼っている農家もつぶれていきます。農協の役割はもう終わったのではないかと私は思っています。
 農家が自立していく為には、自前の流通をつくり、自分で値決めしなくてはなりません。かっての農家は生産にほぼ特化し、あとは農協におんぶにだっこでしたが、これからはマーケティング50%、経営30%、生産20%ぐらいの比率でやっていくべきです。

○農業で成功したかったら国のやり方に従うな 
~農業は市場を包摂できる・農業には無限の可能性がある~
岩澤:日本不耕起栽培普及会のメンバー数は全国で300人くらいです。会員のつくったコメは、一俵3万~4万円の高値で売れます。東京渋谷の東急本店では、一俵22万円の値がついています。べつに22万円で売る事が目的ではないのですが、田んぼにたくさんメダカがいるということだけで、お米の値段が上がる時代になったのだとつくづく思います。
 私たちの農法でイネを育てると、田んぼがホタルだらけになります。ホタルが2000匹になると、人が2000人集まるというのですが、そのうち何十人かは「そのお米を食べたい」と言ってくれます。そういう消費者の声を今まで農家の人たちは聞いていませんでした。流通を他人任せにしてきたからです。
その点、産地直送をやれば、消費者の声を直に聞くことができ、要望に応えることができます。消費者が食の安全を求めているのであれば、安全性を追求した農業をやればいいのです。その結果。自分たちのコメが差別化できれば、高く売れます。コメが安い値段でしか売れなかったのは、安いコメしかつくっていないからなんです。
農業では、何一つ完成されたものはありません。すべてが未完成であるがゆえに、無限の可能性があるとも言えます。農村は宝の山です。でもその宝は原石であって、磨かなければ光りません。それを磨くのが農家です。これからが勝負どころです。
養老:今、日本政府が一番お金をだしている生物学の研究は、京都大学の山中伸弥教授がやっているIPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究でしょう。あの研究はないをやっているかというと、あえて乱暴なたとえをすれば、競走馬を育てるのと同じことをやっているのです。イネを育てたり、品種を改良したりするのとも根本は似ています。
つまり、ロケットや自動車を製造するのとは違う。世間では、農業をもっと工業化させるべきだという人もいますが、農業は工業化させるべきではないし、そんなことができるはずがないんです。
 農業に何より求められるのは多様性だと思います。千葉の農業と東北の農業は違っていて当然であり、農業は個々でいいし、バラバラで良い。それを行政や農協が無理に一律にしようとし、まとめようとして干渉し続けてきたから、うまくいかなくなったんでしょう
岩澤:残念ながら日本のイネ作りは、国が実質的に栽培方法や栽培面積を管理してきました。私たちはこれを変えようと、農家に働きかけたり行政にお願いに通ったりといろいろなことをやってきましたが、変えるのはなかなか難しいですね。
 農家の意識のも問題があります。国家が将来にわたって農家の面倒を見てくれるはずがないのに、未だ国家に頼ろうとしている。実際のところ、農家で成功した人は、国のいう事の逆をやって自立していった人たちです。補助金に頼って農業をやって財産を築いた人は、日本中どこを探してもいません。補助金のもらい癖がつくと、補助金がつかない事業に手をださなくなるからです。
養老:林業でも全く同じ意見が多いですね。まともな人は補助金なんかもらちゃいけないて、必ず言うんですよ。第一次産業とは一番折り合わないでしょうね、ああいうものは。おそらく枠を決めて、お金の額を決めて、必要な人が申請してとる様な形がいいのではないですかね。そうすれば。少なくともなにかしますからね、自分でポジティブに。
(略)
岩澤:農業には無限の可能性が秘められていると言いました。これは間違いない事実です。だけど、それをみんな、追及し尽していないんです。われわれ人間の知識は、まだその世界の入口にいるだけで、わかっていない事が多い。農業はまだまだ手つかずの領域といっていいぐらいです。せめてその事だけでも伝えていきたいと思っています.
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岩澤氏は、がん患者で胃袋も左の腎臓も切っており、隠居してもいい状態でしたが、「神様から『まだやり残している。頑張れ』と言われているような気がして、活動を続けているんです」と述べられていました。しかし、今年(平成24年5月)亡くなられました。



岸良造
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