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農村を活性化させる為には?

「地エネ」時代がはじまった~農家がエネルギーの主になるとき②


引き続き農文協の主張リンクより転載します。
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地エネにぴったり、小水力発電

 そうした「地エネ」のなかで、どの地域にも可能性があって、もっと注目されていいのが小水力発電である。小水力発電は太陽光発電に比べてハードルが高い印象がある。たしかに太陽光発電ではすでに太陽光パネル、パワコンなど、メーカー製の汎用品が普及しており、それらの設備をセットで購入すれば、技術的にも手続き的にも系統連系(発電設備を電力会社の配電線に接続して運用すること)して余剰電力を売電するところまで、わりあいスムーズにすすめることができる。小水力発電の電力を売るのはそれほど簡単ではない。系統連系に際して、配電線につないだときのリスクを極力なくすという理由で、電力会社が発電者に対してさまざまな設備を求めるからだ。しかも太陽光発電や風力発電の設備に合わせて技術要件がつくられているため、小水力発電の専門家から見ると不合理な点も多いという。
 では太陽光発電や風力発電にくらべて小水力発電が割に合わないかといえば、そんなことはけっしてない。晴天の日中以外は効率がぐんと落ちる太陽光発電や、風が吹かなければ電気が起きない風力発電の設備利用率は12%前後といわれる。これに対して小水力発電なら年間の水量の変化を加味しても65%程度の設備利用率を見込むことができる。年間の発電量に換算すると小水力発電は太陽光発電の約5倍。固定価格買取制度の単価を当てはめて70kW規模の発電所で試算すれば、太陽光発電の売電収入が年間約300万円に対して、小水力発電では約1400万円と、約4.6倍になる。小水力発電はたしかに最初はおカネがかかり、手続きも少々面倒だが、建てるところまでもっていけば断然有利なのだ。
 豊富な水量と落差をもつ河川が流れ、各地に農業用水路がはりめぐらされた日本には、小水力発電所をつくる可能性がまだまだある。日本とドイツを比較すると、3万kW以上の大水力発電所は日本がドイツの4倍あるのに、1000kW以下の小水力発電所はドイツの約5000カ所に対して日本は約500カ所と10分の1しかない。可能性がありながら開発が進んでいないのが、日本の小水力発電なのだ。

地域のおカネが回っていくしくみを

 集落単位で小水力発電をはじめるなら、最初から大きくやるよりも、まずは外灯や電気牧柵などの小規模な利用で試験してみて、農産物直売所や加工施設への電力供給(20kW程度)へ、さらに売電(50~70kW以上)へというような段階を踏んでいくといい。九州大学の島谷幸宏氏はこうした3段階のステップアップを提唱している。
 そうなると問題は初期投資をどうするかだ。小水力発電の設備投資は1kW当たり150万円が目安といわれている。かりに50~70kWの小水力発電所をつくるとなると数千万円~1億円程度のおカネが必要だ。首長による公益性の担保、固定資産税の減免などの行政の支援を受けるとともに、市民ファンドの創設や信用金庫、第二地銀などの地域の金融機関との連携によって、できるだけ地元から資金を調達したい。金融機関の側から見ても、再エネ発電事業は単価が保証され、初期投資の回収の見込みがはっきりしているのだから、しっかりした事業計画さえあれば担保なしでも融資は可能であるはずだ。そうすれば、発電事業で得られた売電収入は地域にとどまり、さらに再投資されることで、地域経済の発展に寄与することができる。地域に密着した金融機関の代表であるJAにはぜひ、ひと肌脱いでほしいところだ。
『季刊地域』11号では京都大学の諸富徹氏が、みずからかかわっている長野県飯田市の例を紹介している。飯田市では市民出資による太陽光市民共同発電の仕組みを軌道に乗せ、中心市街地再生と熱供給、バイオマスエネルギーの地産地消、小水力発電の可能性についても調査研究をすすめているという。
 固定価格買取制度では、電力会社にとって割高な価格を維持するためのおカネは、電気消費量に応じて月々の電気使用料金に加算する形で利用者から徴収される(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」)。国民から広く浅くおカネを集める一方で、そこで得られる利益を広く地域に行きわたらせる仕組みは制度として担保されていない。資本力のない地域の個人や小さな組織が事業に参加でき、エネルギーとともに地域のおカネが地域内で回っていく仕組みを、自治体や、JAを含む地元金融機関に働きかけながら、自分たちでつくっていかなければならない。そういう動きはいま各地で起こっている。

農家が「エネルギーの主」となることから

 ここまで小水力発電を例に見てきたが、農家が中心となる「地エネ」は小水力発電にかぎるものではないし、発電にかぎるわけでもない。電気を自分たちの手で生み出すことをきっかけに、動力や熱供給を含むエネルギー全体の地域自給を見直したい。
 もともと日本の農家は水車を利用して粉をひき、用水路の水を田んぼに揚げ、山の木から薪や木炭を生み出し(木質バイオマス利用)、堆肥の熱で温床をこしらえていた(バイオ熱利用)。いまこそ、そういう「地エネ」の伝統を、現代の技術水準を取り入れて生かすときではないか。
 ドイツでは畜産農家が家畜糞尿と飼料の残りでバイオガス発電を行ない、肥料や熱としても利用したり、林地残材をチップ化してボイラーで燃焼させたり、牧草地に市民風車を設置したりといったことが、いまさかんに行なわれている。2000年に固定価格買取制度が施行され、再エネ発電が伸びるとともに、電気や熱エネルギーの主権を再び地域が取り戻しつつあるというのだ。その中心となっているのが、もともとドイツで「土地の主」と呼ばれ、最近では「エネルギーの主」とも呼ばれるようになった農家である。
 日本の農家にも「エネルギーの主」となる資格は十分にある。まずは自分の家、むらのエネルギー資源を見直してみたい。
 そこでは今のようすだけでなくかつての姿――古い発電所はなかったか、といったことも、大いに役立つ情報になる。ひょっとして、まだ使える導水路や水圧管だって残っているかもしれないのだ。
 むらを流れる河川や用水路の、どの箇所に年中水が流れていて、どこに落差がとれるか、農家であればすぐにわかるはずだ。さらにむらの年寄りから、かつて水車がどこに設置されていたかを聞きとってみると、よい情報が得られるだろう。まずは、水や林地残材、オガクズ、モミガラ、家畜糞といった地域の資源を見直すことから、「エネルギーの主」への第一歩がはじまる。
 それは相変わらず電気を「遠いもの」にしておき、自分たちの都合で原発再稼働を言いなりにできるといまだに信じている、巨大な電力会社から自由になる第一歩でもある。
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以上です。


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