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農村を活性化させる為には?

多種多様な生物層の共生が、大地の力、土壌の力を生み出す。

近代農業では、土地を耕し、除草剤・殺虫剤・殺菌剤をまき、結果として不足する養分を補う為に肥料をまく。
このような近代農業は詰まるところ、高い技術力を要せず、効率的かつ大量に、そして同一規格の作物を生産するために「開発」されてきたと言え、近代農業とはすなわち市場原理が生み出した近代市場農法・農業と言えるだろう。

自然の摂理に則って考えれば、この近代農業が異常な生産方法であることは明白である。

自然状態では、土地を耕さなくても、肥料をまかなくても、非常に豊かな森が育っている。292655、292713、292775と「雑草」と「農業」についての追求を行ってきたが、これら雑草類は土中微生物の栄養源となり、微生物と共生しながら豊かな土壌を生み出している。このようにして育まれた微生物群が、豊かな森を育んでいるのである。

もちろん、自然の大地の力、土壌の力を生み出しているのは、これら雑草や微生物だけではない。昆虫類やセンチュウ類など、多種多様な生物層の共生が、大地の力、土壌の力を生み出している。

市場原理による近代農業を超えた、新しい農業を考える上では、この自然の摂理の事実構造を掴む必要があると思われる。

以下の「日本土壌協会」による「有機栽培を理解するための基礎知識」では、自然の土壌が育む豊かな生物層について詳細な分析・追求がなされており、非常に参考になる為、紹介しておきたい。

以下、リンク
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1.有機栽培と慣行栽培の違い
自然生態系において土壌生成の原動力であり、主体となっているのは、植物や土壌生物である。これら生物量の豊否が土壌の化学的・物理的機能の発現量に大きく関わっていることは、土壌学、生態学、生物学、地球科学等の各学問分野における広範な研究によって、明らかにされてきている。

従って、地上部と地下部の生物量を高めることにより、ある一定レベルまで土壌の「植物生産機能」を高めることが可能である。
しかし、農業という経済活動においては効率性、作業性が重視されることから、単位面積当たりの収穫量を短期間に増加させ、大きさや外観品質、食味を向上させるための栽培技術が発達し、育種もそれを前提に行われてきた。
すなわち、養分が不足すれば化学肥料を与え、土壌が固くなれば耕起を行い、病害虫が発生すれば殺虫剤や殺菌剤を散布し、雑草が養分や日光を競合すれば除草剤を散布するという技術である。これらは「速効性が高く」、栽培上の 「問題点をピンポイントで解決」でき、さらに農家にとって特に「高い技術は必要としない」 ため、すぐに普及拡大し、近代的な栽培技術として次々に採用されてきた。 これにより20世紀後半から、作物を高収量で安定的に生産できるようになってきた。

このため、現在のほとんどの農家には、土壌の機能が「土壌養水分を蓄える培地」か「植物を支える支持体」程度にしか認識されていないのではないかとさえ危惧されるほど、「本来の土づくり」がおろそかにされているように見られる。各都道府県の土壌改良目標においても、土壌の化学性、物理性に重きが置かれ、土壌生物に端を発する土壌機能についての指標は僅少である。

一方、有機農業は、「土壌が本来有する機能を発現させる」ことが基本となっており、慣行栽培に取り入れられてきた上記技術は基本的に行えない。そのため、有機栽培農家は「緩効的あるいは遅効的」であり、「総合的に問題点を解決」し、「農家の技量や知識に依存する」農業技術の修得が必要となってくる。

従って、慣行栽培に慣れ親しんできた農家が有機栽培を行うに当たっては、 初めて直面することが多く、迷いが多いことは容易に推測される。
そのため、有機農業を理解するにはまず、耕地生態系や土壌機能の複雑な関わり合いについての知識を学び、理解することが肝要である。

現在、有機栽培を実践している農家は、栽培を通して土壌の変化、作物の反応 (生育、 収量、 品質、 病害虫など) 等を観察 ・ 記録し、その土地に最も適した有機栽培体系を模索しながら構築してきている。また新しい有機農業技術の導入を試行錯誤しながら取り入れて適用性について検討を行っている。

現在の有機農業技術レベルは、化学肥料や化学合成農薬を施用しなかった昭和初期の栽培方法に戻っているわけではなく、分子生物学、生化学、物理学、植物学、動物学、昆虫学、微生物学、 土壌学、 作物学、 園芸学、 生態学などの各学問分野において、分子、組織、個体、個体群、生態系の各レベルで長年研究が行われ、「自然の本質」を追求することによって得られた研究成果によって、有機農業技術のメカニズム、適応性や有効性の範囲が明確になりつつある。

以下本項では、 有機農業の可能性について理解を深めることを目的として、有機農業技術の基礎をなす自然生態系機能のうち、主として有機栽培
の土壌管理技術を支える研究情報を中心に紹介する。

2.土壌動物の機能
土壌中には種々の生物が存在しており、大きく土壌動物と土壌微生物に分かれる。土壌動物のバイオマスは、土壌微生物より少ないが、 土壌の物理性の向上と維持という面では、なくてはならない存在である。
金子(2007)は、既存の土壌動物生態研究を引用し、自然土壌、いわゆる 「発達した土壌」は、生物によって作り出される様々な機能的な場(Domain) を構成していることを説明している。

①デトリタス圏
 (落葉層で細菌やカビによる有機物が進行する。土壌動物の餌となる)
②根圏
 (根から糖類やアミノ酸などの形で微生物に利用しやすい炭素、窒素源
  が供給され、微生物が増加する。 また根や根に共生する菌根菌が
  土壌から水分と栄養塩類を植物に運ぶ。)
③土壌孔隙圏
 (土壌の隙間は土壌生物のすみかとして重要な意味を持つ。)
④団粒圏
 (保水と排水の両方の機能を持つ。)
⑤ミミズ生活圏
 (土壌に穴をあけるだけでなく、様々な作用を引き起こし、土壌を改変
  する。)
⑥シロアリ圏
 (集団で巣を作り、土壌に孔隙をあけ、多量の有機物を移動させる。
  巣の周辺では栄養塩類の集積が起こったり、 他の土壌動物の生息
  が変化したりする。)
⑦アリ圏 (同上)

このように土壌を巨視的から微視的まで階層的に見ると、 多種多様な生物が、それぞれの生活空間を確保し、 物質循環と複雑な生物相互作用を行っていることが分かる。 金子(2007)は、 土壌が土壌として存在 ・ 維持されるには土壌生物の働きが必須であり、 土壌動物の機能は特に重要であると述べている。

このような多種多様で豊富な土壌動物を増加させるためにはどうしたらよいかであるが、中村(2005)は、不耕起、無農薬、前作残渣被覆、雑草刈取り放置でダイズとオオムギを9年間栽培し、土壌中の大型動物の数と種類を詳細に追跡している。

その結果、不耕起無農薬栽培区のヒメミミズとササラダニの種数と個体数は、実験開始 1 年目から慣行栽培区に比べて高く、その後も経過年とともに増加する傾向が見られた。ミミズの数は4年目から増加し、9年目には1m2 当たり200個体以上になっていた。

農耕地土壌にミミズ(大型ミミズ)が出現すると、その他のヒメミミズ、トビムシ、ササラダニ及び他のダニの個体数を増加させる。これはミミズが土壌中に作るミミズ孔が重要な役割を果たしているとされている。ミミズ孔の壁にはつやつやした層 (厚さ1~2mm) が形成される。
この層にはミミズの粘液がしみ込んでおり、微生物が繁殖し、微生物食性のトビムシやセンチュウが多く、中村(2005)は、ミミズ孔が土壌生物の世界を創っていると説明している。

有機物とともにミミズを入れて作物を栽培すると、ミミズ無投入区に比べて収量が高くなる(中村2005)。これはミミズ孔による巨大な通気孔や透水孔を形成すると共に、ミミズ糞が団粒構造を発達させるなど、土壌物理性を向上させたことに加えて、土壌養分供給能力を向上させる化学的効果があることも認められている。

土に稲わらを表面施用と鋤込み施用を行い、 それぞれにヒトツモンミミズを入れたところ、ミミズを入れた処理区で土壌中の無機態窒素量が増加していた。 またミミズを投入した場合であっても、稲わらを土壌中に鋤込むよりも被覆した方が、効果が高く現れていた。
これは、ミミズを介した有機物分解は、ミミズの生態特性によるものが大きく、自然状態と同様に粗大有機物は土壌表面に施用した方が、効率が高いためと考えられる。

ミミズは地表の有機物を孔の中に引き込み、摂食、消化し、廃棄物により低分子化された窒素化合物が土壌中に放出している。すなわち果樹及び茶の有機栽培において、施用した有機物の肥効を高めるためには、土壌動物のすみかと餌となる植物残渣を土壌表面に施用し、さらにその地域に生息するミミズを積極的に投入することが一つの肥培管理技術として有用と考えられる。

ミミズはいわゆるデトリタス連鎖の中では、 有機物分解の最初の段階に位置する動物であるため、ミミズの積極投入により、たとえ C/N 比が高く、分解性の低い有機物であっても比較的早期に無機化を促進させることが可能である。

土壌動物の中でセンチュウ類は、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、 シストセンチュウなどの植物寄生性のものが作物に加害するので、悪いイメージを持たれている。 しかし、センチュウの種類は、調べられているだけで2万種に上り、 その生態や生活環も多種多様であるが、その実態について多くは知られていない。
岡田 (2002)は、センチュウを食性から5つに分けている。

このように作物に加害するのは植物食性のみであり、自然土壌では、雑食性、細菌食性、糸状菌食性センチュウが90%以上を占めるとされている。
また肉食性、雑食性、細菌食性、糸状菌食性のセンチュウは、土壌中の有機物分解に大きな役割を果たしている。さらに病原糸状菌を食べるセンチュウも存在している。細菌食性と糸状菌食性センチュウは、窒素の無機化に大きく貢献していることが分かっており、種々の C/N 比をもつ有機物を施用し、センチュウを投入すると無機態窒素濃度が高くなり、しかも C/N 比が高くなっても、 窒素無機化速度があまり低下しないので、 ミミズ同様、土壌肥沃度の向上に貢献していると言える。

岩切(1986)は、花崗岩、三紀層、玄武岩の母材の異なる3地点のミカン園において、 除草剤(ブロマシルとパラコート)を連用している園と除草剤無使用園のセンチュウを調査している。その結果、 全ての除草剤連用園では、植物寄生性センチュウの割合が高く、中でもミカンネセンチュウが圧倒的に優先していた。
一方、 除草剤無使用園では、植物寄生性センチュウの割合は3地点の全てにおいて減少しており、その代わりに植物に無害で土壌生成や養分循環に寄与する自活性センチュウ (雑食性、細菌食性及び糸状菌食性)と捕食性センチュウの割合が増加していた。
またセンチュウの多様性指数が高いほど、植物寄生性センチュウの割合が低下していた 。

このことから、除草剤を使用せず、ミカン園を雑草草生管理することが、 土壌中の生態系を量、質ともに豊かにし、センチュウの多様性を高めたために、植物寄生性センチュウ割合が減少したものと考えられる。
土壌中には肉食性センチュウだけでなく、原生動物、ミミズ、クマムシ、ダニ、甲虫等多種多様な動物が生息しており、これらの一部はセンチュウを捕食して生活している。
センチュウは土壌中の個体数が多いことから、多くの土壌動物の餌ともなっており、有機栽培の果樹園における土壌養分動態に対する影響も大きい。

土壌動物の中で、トビムシは中型乾性動物類の中で、サララダニと共に密度が高いため、「土のプランクトン」 と言われており、様々な動物の餌となっている。 一方、トビムシは病原性糸状菌を摂食することにより、 病害を抑制する機能を有している。 中村 (2005) によれば、 寒天培地上に病原糸状菌を繁殖させ、トビムシをその容器に入れると、表面の菌糸を移動しながら摂食し、その行動様式はトビムシの種類や病原糸状菌の種類によって異なったという。
例えばアイイロハゴロモトビムシは、白紋羽病菌を培地表面がツルツルになるほどに食べるが、培地は食べなかった。ヒダカホルソムトビムシでは、菌糸を食べ終わった後に、菌糸の増殖により変色した培地を食べた。土壌中において、菌で育ったトビムシは根の周囲を徘徊し、菌糸を食べるが根は食べない。 これを応用してトビムシ移入実験をしたところ、キュウリつる割れ病(開花まで)、ダイコン萎黄病(発芽から3週)、キャベツ苗立枯病 (発芽から 3 週)、アズキ白紋羽病(発芽から3週)の感染抑制が確認されている(中村 2005)。

(引用終わり)



西谷文宏
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