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農村を活性化させる為には?

耕作放棄地は希望の条件がすべてそろった理想的な環境2

(続き)

◆市場で売らなければならないという幻想

こういった事例は、ことの本質を見事に語っている。その常識とはなにか。第一は耕地で育てるからには「相当額のお金に姿を変える経済行為でなければならない」という常識だ。こういう常識にとらわれいる人たちは、お金に変えてしまうと失われる価値があることに気づいていない。
なぜ自分で食べてはいけないのか。自分で作ったものは自分で食べるのが一番楽しいし充実感もある。もちろん人に食べてもらっておいしいといわれれば、どんなにうれしいことか。

それなのにできたモノは必ず外の市場にもっていき、売らなければいけないと信じていた。そのために作物の品質と量だけにひたすらこだわり、他の産地に負けないように、価格競争をしてきた。海外産はもっと安いといわれ、渋々「値下げに応じてきた」のである。
そのあげく「戦えない商品」しかつくれなくった耕地では、なにも作らないという選択をしてきたのだ。耕作を放棄し、食べるものを外から買い、自給率を下げてきた。そうしたことが地域で暮らすコストを押し上げ、結果、地域が生きていくことを難しくしている。基本的なことだが、改めてそのことを認識しておかねばならない。

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耕作放棄地の菜園で野菜を育てている市民は、その分スーパーで野菜を買う必要がない。これは重要なことを問いかけている。
いつの間にか私たちは、趣味をお金で買うしかないものにしてしまった。趣味を含む生活のすべては、仕事という「業」で得たお金を切り崩して得るしかないと考える。一方通行の仕組みを金科玉条にしているのはなぜなのか、と問うているのだ。趣味で野菜をつくりその分お金を使うことが少なくなれば、それに越したことはない。それどころか支出さえ抑えられれば、実はそれほど収益性の高くない「業」でもつくっていくことができるようになるのだ。
地元で作った魚を給食に使えば、町の外から魚を買う必要がない。同じように代金を払っているようだが、意味合いがまったく違う。地元の魚であればお金は地域にとどまる。地域の中で回っていくのだ。
見かけ上、経済活動は小さくなっていく。でも実は豊かになっていく。さらに手に入る豊かさは金銭的なことではなく、楽しさや誇りといった「副産物」が次々収穫されていく。

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副産物は他にもある。
先にあげた安達さんの変化だ。
「安達さんがここにきた頃は、疲れていた。でもしばらくすると元気になった。たぶん都会にいたころは、100万人のひとりだったのでしょう。ここにくると1万人のひとり。役に立つ感が全く違う。」
そのことを如実に示すバロメーターがある。「ありがとう」といわれることが圧倒的に増えたというのだ。さらにいえば安達さんが「ありがとう」ということも増えた。感謝のコミニュケーションは人を元気にする。それが都会では、どんどん少なくなっている。
安達さんは、自分で作る野菜以外に、先生となっている農家など、何件かの農家をまわって野菜を買っている。その際いくつもの質問をする。何という名前の野菜か、から始まり、おいしい野菜のつくりかた、見分け方、おいしいたべかた・・・。聞かれるたびに、農家の人はこたえる。ほとんどはあたりまえだと思っていたようなことがらだ。でも苦にならない。苦にならないどころか、答えるのが楽しくて仕方ない。毎日早く安達さんが来ないかな、話がしたいな、と思うようになったという。

そうなのだ。野菜の話をするのは楽しいことなのだ。こんなに楽しいことを、なぜいままでしてこなかったのか。それを安達さんが気づかせてくれた。そして今日も安達さんは「ありがとうございました」といって帰っていく。
これが、明日はない、都会に出るしかないとみなが信じてきた田舎に、実は眠っている「実力」なのだ。
そのことを安達さんは、こんな風に表現した。
「地元の人は、なんかやっぱりスーパーとかいろんなものが買える場所があったほうが若い人はいいんじゃないか、という考えをもっているらしいです。そうではなくて、地元の人がもっているいろんな知恵とか、自立して生きていける力とか、そういうことを今すごく必要としていて、それを学びたくてきているんですね。」
安達さんのいうことが常識になれば、地方は激変する。都会に住む人を巻き込んで、日本全体が大きく変わると、私たちは確信している。

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以上「里山資本主義」より引用



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