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農村を活性化させる為には?

現代における参勤交代―農業を媒体とした中央と地方の関係―

現代の都市型生活を送っている日本人に対して、養老孟司と天野礼子が、海外でみられる現代の参勤交代に近い事例を交えながらユニークな対談をおこなっている。


以下引用
( リンク )

「『有機は、身体の延長だ』対談 養老孟司×天野礼子」(抜粋)

(7月7日刊行、天野礼子著「有機な人びと」(朝日新聞社)の原稿ゲラより)
天野 島根県高津川流域にある吉賀町柿木村では、長年、有機農業に携わってきて、都会の人たちに野菜を届けてきた人たちが高齢化して、いま80 歳代になっています。
そこで、たとえば、今後は高齢化した農家の方たちが教える側になって、週末そこへ遊びに来る都会の人たちに「有機の市民農園」で有機農業を教える。都会の人がいない平日は、その農園を耕してあげる。市民農園の脇には100 万円とか200 万円くらいで作れるような小さな小屋が建ててあって、週末はそこに泊まることもできる。そういう仕組みができれば、都会から通っていた人の中から「柿木村で暮らしたい」と思う人も出てくるんじゃないか。人が都会から田舎へ移ってくることが、先ほどの流通の問題を解決する一つの方法になると思っています。

養老 本当は、一番困るのは東京なんです。僕は、東京の人たちには強制的に「参勤交代」をやらせた方がいいと思う。冗談でなく、万一、関東大震災クラスの災害がきたとき、どれだけの難民が出るかというと想定できません。次にいつ働けるようになるかもわからないんですから、災害が来てから仮設住宅を作るとかいったことでは到底間に合いませんよ。もし、「参勤交代」で田舎を持っていれば、非常時はそこに行けばいいでしょう。

天野 戦争の時の疎開と同じですね。「現代の“参勤交代”論」。

養老 そう。それをどうしてやらないんだろう。

天野 ヨーロッパでは、19 世紀から、都市に住んでいる人が郊外にも小さな家を建てて、家庭菜園を楽しみながら週末を過ごすという文化があります。イギリスの「アロットメントガーデン」、ドイツの「クラインガルテン」、ロシアの「ダーチャ」といったものですが、日本にはそういう文化がありません。

養老 それは農業と土地の問題にも大きく関係していて、神門善久さんが書かれた『偽装農家』という本によると、兼業農家の多くは、「税制面からも優遇されている資産としての農地を維持すること」を目的としていて、「自分の所有する農地をうまく転用」できないかと、その農地が値上がりするのを待っている地主になっていて、土地を手放さないとあります。

天野 たしかに農家の方は、休耕田でも、知らない人には貸しませんね。いったん貸してしまうと、とられてしまうと思うんでしょうか。
ただ、その一方で、好きな言葉ではないですけど、「限界集落」といわれるような地域に、都会の青年が入り込むといった例も多くなってきています。

養老 実質的に変化せざるを得なくなっているんじゃないでしょうか。

天野 子どもや孫が支えてくれないので、都会からやってきた元気のいい若者と一緒に暮らすとか。

養老 ここまで家族構造が壊れたら、他人でもいいってことでしょう。遠くの親戚より近くの他人、一緒に住んでくれるような人がいればいい。だから「参勤交代」はいいですよ。農業で現金収入がないというのであれば、兼業農家をすればいい。極端にいえば、農家は全部兼業でもいいと思う。自分の土地をもってちゃんと農業をやっている人はそれでいいけれど。「偽装農家」になってしまっている多くの土地が、まともに農地として機能するようになれば、日本の食料自給率の低さなんて何の問題もなくなると思う。

天野 「参勤交代」のようなことで田舎に行ったとき、その地の農業者たちが、子どもやその両親の世代に農業体験を教える。そういう役割分担をすると、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんと、孫と同じ年代の子どもたちが交流して、両方にとって支えあうような関係ができるんじゃないですか。

養老 都会に住んでいて、新しい故郷ができる。

天野 新しい故郷に都会の人たちが遊びにいく、そういう一つのモデルを作ってみたい。

養老 田舎の人だって、田舎にいればいいというものでもないですよ。文化とか文明は異質のものを混ぜ合わせることでいちばん活性化するから、田舎と都会を混ぜ合わせるのがいいんです。

天野 ドイツの「クラインガルテン(「小さな庭」の意味)法」は、19 世紀に産業革命で空が汚くなったときに、国民が小さな農地に行って、花や果物、野菜のどれかを作らなければならないとした法律です。以前、先生は「日本人は“林業休暇”をとったらどうだろう」というお話をなさっていましたが、農業休暇とか林業休暇とか、そういう制度を強制的に作ったらどうでしょうか。

養老 政治の役割って、そういう枠組みを作ることだと思いますよ。そういった休みは枠組みです。どう使うかは本人の勝手だけど、枠を決めるのが政治の役割。日本の場合、枠を作らないと、自分だけ村八分になるんじゃないかとみんな心配でしょうがないから。

天野 こんなに長く休んでいいのかとか。

養老 どこの会社だって、1ヶ月いなかったら机がなくなっていますよ。だから、社会全体で保障してあげなくちゃならない。あいつは今1ヶ月休んでいるけれど、次は自分が休むと思えば、自分の仕事も誰かにどこかで任せなければならない。自分が仕事を抱え込む、ということもできなくなる。

天野 不正も少なくなる。

養老 そういう効果もあると思いますよ。それから「自分がいなきゃどうしようもない」ことは自分が働いている時期にやるしかなくなるから、非常に機能的に動くという効果も期待できる。そういうことを、本気で考えたほうがいい時期じゃないでしょうか。内需拡大といって、みんなに金をばらまいて、使ってくれれば経済が活性化するなんて、知恵がない。高速道路の無料化もそうですよ。本来は、無料にすることが目的ではないでしょう。

天野 高速道路の無料化は、1970 年代の終わりからヨーロッパで行われた、都市に集中しすぎた人を田舎に戻そうという政策からきているのではないかと思っています。そういうことをやったから、フランスも今では122%の食料自給率になった。民主党政権も、「人を田舎に戻そうとしているから高速道路の無料化をする」とか、はっきいり言えばいいんです。

養老 だったら、やはり「参勤交代をしろ」といいたいなぁ。どうせ規制するなら、政府はそういう規制をすればいい。それに高速の無料化を絡めるのであれば当然ということになるでしょう。
しばらく田舎に行きっぱなしということになれば、交通を便利にしておかないと病院も困るし、教育も困るから。ただ、日本人は、いいものは全部外から来ると思っている。明治維新以前は、全部中国から来た。維新後は西ヨーロッパから、そして戦後はアメリカから来た。だから、僕のいっていることも、英語で入ってくればちゃんと聞くんだけれど、日本語でしゃべっているかぎり誰も聞いてくれない(笑)。__



匿名希望
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