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農村を活性化させる為には?

都市の「小さな農」は成長市場 家庭菜園の新しいカタチ

簡単そうで、なかなか始められない家庭菜園。「おうち菜園」は、初心者でも気軽に楽しめる新しい家庭菜園を提案し、「小さな農」が持つ可能性を引き出そうとしている。

農村で大規模農業が進められる一方で、都市部では「小さな農」が新たなマーケットをつくり出している。空き地を利用したシェア畑、屋上農園、イベントスペースとしての農地の活用など、都市住民をターゲットにした取り組みは着々と増えている。そこでは、「作物をつくる、育てる」だけでなく、コミュニティをつくる仕掛けとしての農業、食育の場としての農業など、多様な価値が見直されている。

矢野経済研究所が2014年に発表した調査によると、「レジャー農業への参加が幅広い年齢層に拡大」と予測されており、ガーデニング市場規模は約2200億円で堅調に推移、家庭菜園分野の市場拡大も見込まれる。そうした中で、「生産者=わたしを増やしたい」というビジョンを掲げ、2014年に設立されたのが「おうち菜園」だ。同社は、ハーブ栽培セットなどのEC(電子商取引)に加えて、家庭菜園のネットメディアを展開している。

■家庭菜園でコミュニケーション
代表の濱田健吾氏は大学を卒業後、2年間オーストラリアで日本語教師を務めた。帰国後は専門商社に就職、シンガポールやロシアなど海外で新規事業の立ち上げに従事、その後、外資系企業に転職した。仕事は面白く、日々走り続けてきたが、効率化、合理化を追求する仕事のやり方に疑問を抱くようになった。

濱田氏は、ウェブサイトで農業ビジネススクール「アグリイノベーション大学校」を知り、週末に通い始めた。宮崎の田舎で育った濱田氏は、農業に触れることで、「ここが自分の原点」と感じたという。

そして、学んだことを自宅の庭で早速実践。植物の成長に4歳の娘が大喜びする姿を見て起業を決めた。濱田氏が可能性を感じたのは、コミュニケーション・ツールとしての農業、家庭菜園だった。

「作物を育てて共通に感じられるのは、ポジティブだということ。トマトの実が成って怒る人はいないでしょう。誰もが笑顔になるんです」

■EC×メディアで潜在市場を開拓
濱田氏によると、家庭菜園をしてみたい人がいても、そこに踏み込めない理由は3つ。「場所がない」、「時間がない」、「知識がない」。そのハードルを取り払うのが、「おうち菜園」の目的だ。

最初の商品をハーブにしたのは、野菜に比べてタフで強いからだ。

「初めての家庭菜園が失敗に終わってしまうと、再びやろうとは思わないでしょう。ハーブなら誰でも簡単にできます」

また、ハーブなら野菜に比べて、より小さなスペースで栽培できる。選べるハーブは70種類。プランター、土など、栽培に必要なものはすべて揃っていて、届いたその日から水をやるだけで簡単に育てられる。

今年3月の販売開始から顧客の反応は良好で、既にリピーターも多いという。顧客の獲得に向けて強みとなるのは、自社でウェブメディアを持っていることだ。ウェブメディアでは、さまざまなハーブの使い方や世界のハーブガーデンを紹介。ハーブのある生活の魅力を提案し、コミュニケーション・ツールとしての家庭菜園の潜在力を引き出そうとしている。

家庭栽培のキットを提供する企業は多く、ホームセンターなどでも販売されているが、そこに立ち寄るのは目的買いの顧客も多い。「おうち菜園」では、ウェブメディアによる情報発信、ハーブ栽培を楽しむユーザーによるSNSでのシェアによって、偶発的な出会いをつくり出し、潜在的な顧客の掘り起こしを狙っているのだ。

■魚と植物が同時に育つ「未来の農業」
「おうち菜園」の手がける、もう一つのオリジナルな事業が「未来の農業」と呼ばれる「アクアポニックス」だ。

アクアポニックスとは「アクアカルチャー(水産養殖)」と「ハイドロポニックス(水耕栽培)」を合わせた造語で、その名の通り、水耕栽培と魚の養殖技術を合わせた農法だ。

魚を飼えばフンが発生する。それを植物が栄養として吸収し、同時に水を浄化。浄化された水は再び魚の水槽へと戻る循環型システムであり、ユーザーのメンテナンス負担は少なく、熱帯魚を飼うような難しさもなく、魚の飼育と植物の成長を楽しめる。

すでに欧米やオーストラリアでは注目を集めており、海外の調査会社によると、2020年には1000億円市場になると言われている。

「おうち菜園」は、アメリカの企業と共同で商品を開発。生態系を利用して魚とハーブを同時に育てることのできる循環型栽培キットを「卓上ビオトープ」として、今夏に販売を開始する。

アクアポニックスは、企業向けの販売も期待できる。生態系の縮図を体感できるツールであり、教材として小学校などの教育機関に提案できるほか、設置場所や規模が自由自在という特性を考えれば、水資源が乏しい地域での魚の養殖も視野に入る。

海外ではすでに、アクアポニックスを組み合わせた飲食店があり、つくる過程をオープンにし、そのストーリーを含めて料理を提供することが試みられている。

都市住民にとっても身近な農の世界。屋上やベランダ、オフィスなど、都市の隙間に入り込む「小さな農」が、さまざまな形で人々の生活を変えようとしている。



柴田英明
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