FC2ブログ

農村を活性化させる為には?

「ブラック農家」や古い経営者が地方を滅ぼす

リンク


今回は「地方では働き手が不足している」という、誰もが知っている常識の奥に潜む「深刻な構造問題」にスポットライトを当てたいと思います。

こう書くと「日本の総人口が減っているのだから、地方はなおさら」と言われるかもしれません。しかし、話はそう簡単ではありません。


■生産年齢人口減少のスピード>総人口の減少スピード 

そもそも、人口の話をする場合、総人口の問題もさることながら、むしろ「稼いで、消費したり、納税して経済と財政を支えていく「生産年齢人口(15歳以上65歳未満の層)が減少する」ことの方が、実際には大きな問題を生みます。稼ぐ人が減少し、社会保障が必要になる=財政負担が必要な世代が増加していく、という事態になるからです。 

大枠の数字を具体的に見てみましょう。2010年の国勢調査では約8100万人いた生産年齢人口が、2030年には1400万人も減少、約6700万人になると社会保障・人口問題研究所が予想しています。一方で同時期に減少する総人口は約1200万人。つまり総人口の減少スピードよりも、生産年齢人口の減少スピードの方が早いのです。

そのため、すでに地方では大都市よりも「働き手」不足の問題が深刻になっています。今は地方にも仕事はあるのですが、それを担う人がもはやいない状態なのです。それでは地方はどうすればいいのでしょうか。

論理的に言えば「働き手が不足する中で経済力を維持、拡大するためには生産性=1人あたり生産力の向上」が必要かつ有効、となるわけです。具体的には、従来の非効率な作業方法を見直したり、設備投資で少数でも生産力を拡大することなどが重要です。少ない人手でも多くの生産力を生み出せるようになれば、働く人の報酬も高めることができます。

しかし、物事は論理的には動きません。変化にはスイッチングコストがかかるため、短期的な変化へのコストを支払わずに、「どうにか今までやってきたこと(過去)を続けられないか」と考える経営者が大半です。その結果、従来型の低生産性構造の産業を維持したまま、足りなくなった「働き手」を探すことになっているのです。


よく地方では「働き手不足」という言葉が出るのですが、それは別に人口減少だけが原因ではなく、明確な問題があるのです。それは、地方における既存産業で求められる労働自体が「低賃金・長時間労働」であったり、血縁・地縁を基礎とした付き合いなどを理由に、「女性や子供たちは無賃金労働するのが当たり前」、といったものだったりするからです。

人手不足なのに、経営者たちがプロセス改善や設備投資と向き合わず、昔からの非効率な業務のまま、過剰労働の担い手を探し続け、さらに地域を衰退させてしまう負のスパイラルが発生しています。


■「外国人研修制度」は「地方の当座しのぎ」に過ぎない

かつては学生や訳ありの若者の期間限定バイトなどで補えた時もありました。しかしそうした労働は、近年では日本人の若者からは見向きもされなくなりました。そこまでくれば、「今度こそ変革を!」と思うところです。しかし、そうならずに、次は「外国人を活用すれば良い」となってしまいました。その一つが、近年大きな問題になっている「外国人技能実習生制度」です。

2014年には東京入国管理局から外国人農業技能実習生の受け入れ停止処分を受け、一部の協同組合が解散にまで及んだ長野県川上村の事例が世間を賑わせました。年収1000万円以上の農業世帯が当たり前の「豊かな農業の村」として全国的に注目されている同村ですが、外国人実習生に過酷な長時間労働などをさせていた実態が明らかになりました。

(中略)

ここで言いたいのは「地方のブラック農家」やその他の第一次産業関係者などを告発しようということではありません。既存の低付加価値で生産性の低いシステムに人材を集めようとするのでは、未来はありません。過去の常識や伝統を変えていく新たな付加価値の高いビジネス、生産性の高い仕事の仕方こそが、新たな人材を健全なカタチで地方に集め、その地域の課題克服に向けて風穴を開ける一手になります。


■地方発の「高付加価値ビジネス」が続々

例えば新潟の三条市に本社を構えているキャンプ用品やアパレル販売のsnowpeakはそうした企業の一つです。株式上場を目指した段階からは積極的にU/Iターン者を広く中途採用し、今や世界で高く評価される高成長企業となっています。

自ら企画から販売までを一貫して行っていくその経営スタイルは、地元三条市の、他の工場群にも影響を与えました。以前は多くの会社が下請け中心でしたが、下請けから転換し自ら最終製品を作り出し、さらに工場見学を街の観光などにも活かす「オープンファクトリー」などの取り組みにまで発展しています。

また、広島の「せとうちホールディングス」の取り組みも未来を感じます。瀬戸内海の観光産業は極めて有望な成長分野です。しかし、地方の国内旅行中心に発展してきた既存旅行・ホテル経営者だけに依存しているだけでは、おカネも時間もある中間層以上の顧客を呼び込むような観光事業を発展させることが困難です。

同HDの子会社である「せとうち SEAPLANES」は、飛行機メーカーを買収し、国内戦後初の水陸両用飛行機の旅客運行を開始し、大きな注目を集めています。

(中略)

このように、地方において今後必要なのは、しっかりと新たな市場と見据えて、高付加価値の産業構造へ変化していくような新たな事業家の存在です。過去の非効率な産業を展開する経営者たちを政策的に支えるようなことは、地域のひずみを拡大させ、結果的には衰退を加速させます。

新たな成長分野に地域産業も転換していくことは、短期的には痛みを伴うため、既存の経営者達が反対します。しかし、非効率な事業を続けようとする経営者達の既得権を政治的に守っても、働き手も、地域も、結果として日本社会そのものも守れません。ビジョンある地域の事業家たちの取り組みにこそ、人口減少社会における地方の光があります。



高橋謙太
スポンサーサイト





にほんブログ村 企業ブログ 農業へ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://gensenkeijiban4.blog.fc2.com/tb.php/593-a8eeeb1f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)