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農村を活性化させる為には?

教員生活から羊農生活へ。北海道厚真町の山田さんの挑戦。

「タロちゃんー。ペコちゃんー。まりあっちー」。
1頭1頭に名前を付け、人間の子供たちに接するように羊を集める山田忠男さん。名古屋での教員生活を終えて故郷へUターンし、北海道の厚真町で唯一の羊農家として暮らしています。当初は羊を飼うとは夢にも思わなかったそうですが、今では羊たちが持つ“癒し”にどっぷりと浸かる毎日。
あづまジンギスカンのブランドを守るとともに、短い命を全うする羊たちの幸せを願って取り組む“健康でおいしい羊づくり”に妥協はありません。山田さんは、厚真町から羊を絶やさぬためにも、羊による新しい取り組みにチャレンジしてくれる起業家をサポートしたいと言います。
第2の人生は、
町で唯一の「羊飼い」
山田さんは厚真町出身ですが、定年退職したら地元に戻ろうと考えていたのですか? なぜ羊を飼おうと思ったのでしょう?
山田:もともとは田舎暮らしだったので、やっぱり都会よりも心が落ち着きますからね。教員の仕事を終えたら地元で農業をやりたいと考えていました。でも、最初は羊を飼おうとは全く思っていなかったんです。私が名古屋から戻って来たのは平成17年でしたが、当時、北海道では確実に過疎化が進んでいて、農業を基幹産業とする地域は新規就農者でも割と参入しやすいタイミングでした。まずは小さなハウスで野菜を作ることにすれば農業委員会に就農を認めてもらえると思っていたのですが、なかなか厳しかった。そこで、友人に相談したところ「羊が見直されてきていて将来性のある農業分野だと思うので、羊農家になってみてはどうか。また営農計画をしっかり持っていなければギブアップということにもなりかねない」。そこで各地の羊農家や家畜改良センター等を視察して猛勉強をしました。農業委員会に営農計画書を提出し、また面接も受けて無事農業者として認められました。そして、平成18年にテクセル種3頭とサフォーク種14頭を購入し、牧場が始まりました。
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——当初は思いがけない形で羊飼いを始めたということですが、実際に羊を飼ってみて魅力はどこにあると思いますか?
山田:癒しですね。特に子羊は、かわいいから抱きしめたくなるんだよね。でも、実は生まれて2〜3日の子羊を抱っこすると人に懐かなくなるんです。羊は弱い動物だから、自由を奪われることを恐れるわけ。どうすればよいかというと、寝ている時に頬を触る。首から後ろを触ってはいけません。目を開けそうになったら触るのをやめる。成長して屋外に出るようになり、親羊と一緒に過ごしている時もそういった接し方を繰り返していくと、だんだん羊の方から「なでて〜」と寄ってきます。羊を飼って11年経ちますが、羊のことについて、まだまだ分からないことがいっぱいあるように思います。毎年、一つずつ羊のことが分かってくる感じです。
——経済動物だけれども、一緒に暮らしていると自然と愛情がわき上がるのでしょうか。
山田:間違いなく、愛情がわきますね。私は1日に何回か羊を見に行って、声を掛けています。「おーい、まりあっち。元気かー」と。その時に顔とふんの状態を見て体調を見極めるんですが、「いいふんをしているから、お前は大丈夫だな」とか。喧嘩をしていたら「喧嘩するな。喧嘩したらつまらんからなー」とか声を掛ける。そうやって暮らしていると、どうしても羊にもっともっと幸せになってほしいと思うんですよ。
山田:とても簡単で、よく太って脂がのっていることが大事です。羊には脂身と赤身しかなくて、牛肉のようにサシが入ることはありません。脂は皮膚の下やあばら骨などについていますが、それがたくさんあること。実際のところ脂身は売り物にならないし全て除去するので、それなら始めからない方がいいと思うでしょう。ところが、全然違う。脂がのっている赤肉だからうまい。逆に脂肪の厚みが4〜5cmにもなってしまうと、赤身がほとんど取れなくて業者泣かせになってしまう。歩留まりが悪いということです。
——その微妙なラインをコントロールするのですね。
山田:私の管理方法は至ってシンプルなんです。1年中、羊の自由にする。小屋の扉は常に解放してあるので、羊たちは太陽が登る30分前から日没後30分くらいまで外に出て、自由に草を食べます。雨が降れば、小屋に戻って寝ます。そうやって外にいる間は草を食べたり、寝たり、遊んだり、走ったりすると、適度な運動になるので良い肉質になるんです。羊農家の中には1日に与える餌の量を100g単位で調整して、緻密に管理している人もいます。でも、それはやりたくない。あくまで羊の自由にさせたい。もちろん草だけでは太らないので、くず大豆を煮たものや糠を与えたりもしますが、そのままだと反すうできないので干し草にからませてやる。羊は四つの胃を持っている反すう動物ですから、しっかり反すうさせることが健康な体を作ります。
山田:いきなり何百頭を飼うと販路の問題が出てきますが、細々とやっている限りは町内に卸すので十分。それだけではなく札幌の会社に卸したり、ホテルと契約したりするのもいいかもしれないですね。というのは、国際会議が行われる時のホテルのディナーは、宗教上の問題から豚肉や牛肉を提供できません。ですから羊肉の需要が高い。その代わり、ホテルと契約する場合は肉の品質を超一流にしなくてはなりません。さらに、切れ目なく肉を出荷する必要もあります。そういった交渉が大変かもしれないですね。でも交渉ごとの感覚は、農業者よりもサラリーマンをやっていた人の方がするどいのではないでしょうか。その他にも羊を呼び水にして農家民宿やレストランをやるなど、羊ビジネスの可能性はいくらでもあると思いますよ。
 




大川剛史
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